「ヨギボー」「フランフラン」「コストコ」「アラジン」といえば、若い世代を中心に人気のインテリア家具や雑貨類、衣料品、暖房機器などの有名ブランドだ。
その偽通販サイトが横行し、被害が後を絶たないというので、消費者庁が2023年4月26日、「人気インテリア家具や雑貨等の公式通信販売サイトを装った偽サイトに関する注意喚起」という警鐘を鳴らす報告書を発表した。
本物の公式通販サイトのロゴや商品写真を盗用し、本物の事業者の名前まで使っているというから厄介だ。どうやって見分けるのか。
本物のロゴ、本物の通販業者名...どうやって見分ける?
消費者庁が今回、昨年(2022年)春から被害が相次いでいるとして、発表した有名ブランドの偽サイトは次の4つだ。
(1)「偽ヨギボーサイト」=米国に本社がある、ビーズソファを中心にしたインテリア家具のブランド「Yogibo」(ヨギボー)のロゴマークや商品画像を盗用して、公式通販サイトであるかのように装った偽サイトだ【写真1】。表示されている商品は、「Yogibo」ブランドのビーズソファなど。
偽サイトの「会社概要」のページには、公式通販サイトの運営会社名がそのまま表示されているものと、無関係の会社名が表示されているものと2タイプある。いずれも連絡先電話番号の記載はない。金銭支払い方法は、クレジットカード決済のみだ。
(2)「偽フランフランサイト」=日本に本社があるインテリア家具や雑貨のブランド「Francfranc」(フランフラン)のロゴや商品画像を盗用して、公式通信販売サイトであるかのように装った偽サイト【写真2】。表示されている商品は、「Francfranc」ブランドの家具や雑貨など。
こちらも「会社概要」のページには、公式通販サイトの運営会社名が表示されており、連絡先電話番号の記載はない。これも金銭支払い方法は、クレジットカード決済のみだ。
(3)「偽コストコサイト」=米国に本社がある会員制大型倉庫店のブランド「COSTCO」(コストコ)のロゴや建物写真などを盗用し、公式通販サイトであるかのように装った偽サイト【写真3】。表示されている商品は、「COSTCO」ブランドのダウンジャケットやバック、宝飾品など。
「会社概要」のページには、公式通販サイトの運営会社とよく似た会社名が表示されており、連絡先電話番号の記載はない。金銭支払い方法は、代金引換決済のみだ。
(4)「偽アラジンサイト」=英国に本社がある暖房機器や小型家電のブランド「Aladdin」(アラジン)のロゴなどを盗用し、公式通販サイトであるかのように装った偽サイト【写真4】。表示されている商品は、「Aladdin」ブランド商品と、それ以外の商品も掲載されている。
「会社概要」のページには、公式通販サイトの運営会社と同業の他社の名前が表示されており、やはり連絡先電話番号の記載はない。金銭支払い方法はクレジットカード決済のみだ。
一見しただけでは偽サイトと気づかず、事業者の正体も不明
消費者庁によると、このように4つの偽サイトは、外見は人気ブランドのロゴや商品の写真を表示しているため、一見しただけでは偽サイトと気付くことは困難だという。
しかも、会社概要にブランドの公式通販サイトの運営会社名をそのまま表示したものまであり、非常に紛らわしい。ただし、連絡先電話番号は表示されておらず、いずれも運営事業者の実体は不明だ。
消費者から金をだまし取る手口はこうだ。
(1)「Instagram」や「Facebook」などのSNSやインターネット上の広告で、「限定価格セール大特価」「97%OFFの大幅な値引き」などと表示して、広告内のリンクから消費者を偽サイトに誘導する。
(2)または、検索エンジンで上位に結果表示された広告のリンクから偽サイトに誘導する。
(3)そして、クレジットカード決済の場合は、消費者はクレジットカード番号を入力し、代金を支払う。しかし、注文確認のメールが届かなかったり、問合せのメールの返信がなかったりして連絡が取れなくなる。結局、商品が届かず、代金だけを取られるのだ。
「97%OFF!」など、価格が異常に安いのは偽サイトの典型
消費者庁ではこうアドバイスしている。
(1)有名ブランドだからといって、ロゴの有無だけで公式通販サイトであると判断するのは危険。偽サイトのURLは、公式通販サイトのURLと相当似せているものもあるので、今一度公式通販サイトのURLか確認する。
(2)会社概要に、本物の公式通販サイトの運営会社名を記載している偽サイトもあるため、会社名だけでなく連絡先(電話番号、メールアドレスなど)がしっかり表示されているか確認する。
(3)133万1000円の時計が3万9800円(97%OFF!)などと、価格が異常に安いのは偽サイトの典型的な手口。誘い込まれたサイト内で多くの商品が大幅な値引きで販売されている場合は要注意だ【写真5】。
(4)公式通販サイトは、消費者のニーズに応えるべく多様な支払い方法を用意しているのが一般的。クレジットカード決済のみなどと、限定的方法しか選択できない場合は、今一度サイト内を確認する。
(5)サイト内や返信メールなどの日本語が不自然な場合は、偽サイトを疑おう。
そして、消費者庁は最後にこう呼びかけている。
「近頃の偽サイトを見分けるのは高難度です。あの手この手の煽(あお)に熱くならず、落ち着いて慎重に確認しましょう。『スマホで見てると、小さすぎてわからないじゃないか!』というあなた。そうです。スマホの場合、表示領域やサイズの制約があるのでさらに慎重な確認が必要です」
(福田和郎)