生保セールスで成果を上げるために...必要なことはたった2つ【尾藤克之のオススメ】

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   生命保険営業員とは、生命保険を販売する各生命保険会社の販売員や、保険販売代理店で保険商品を販売するスタッフのことだ。

   近年は複数の保険商品を同時に比較検討できる「保険ショップ」が台頭しており、窓口販売を行うスタッフが増えている。その人数は、全国で123万人(生命保険協会、2021年版生命保険の動向)と言われている。

『成績のいい人はモテる人』(下澤純子著)ファストブック

相手の心理を理解するには?

   実は、生保セールスには高い折衝力が必要とされる。著者の下澤さんは、どのようなテクニックを使い、お客の信頼を獲得していったのか。

「頑張って一生懸命な人ほど売込みをします。私は『一切売込みしません』と言って売込みをします。以下は、私の案件の実話です。夫が55歳男性、妻が41歳。息子22歳社会人になったばかり。死亡保険を増額したいと保険営業マンに相談したところ、『ご主人の保険より息子さんの保険を考えましょう』と言われてしまいました」(下澤氏)
「しかし、(そのお客様は)どうしても納得できず、来店型の代理店へ行き同じ話をしたところ『お客様の場合、もう死亡保険は増額でなく減額でよろしいかと』と、やはり息子さんの保険を勧められました。そこで、ネットで私を見つけ、問い合せをいただきました」(同)

   読者のみなさんは、このシチュエーションをどのように考えるだろうか。あらゆる角度から、想像してもらいたい。可能性としては、加入後の自殺も考えられるケースと言えなくもない。では、回答を説明しよう。

「この男性は再婚でした。元の奥様を乳がんで亡くされていて、息子さんと2人で生活していました。縁あって再婚したのですが、新しい奥様も乳がんの既往歴がありました。そこで私は気付きました。この男性は、年齢差を見ても、自分が早く亡くなる。そうなってしまった後の、奥様のがんの再発が怖かったのだと」(下澤氏)
「その時のために、自分の保険を利用してお金を残したかったのだと思い、『奥様にお金を残されたいのですね』、私がそう言うと、その男性は、しばらく目を閉じて涙を流しました。すごく愛を感じました。人生、テキスト通りではありません」(同)

どうしたら「案件紹介」をもらえるか?

   保険営業に紹介案件はつきものだ。しかし、あまりガツガツやると嫌われる。はたしてどのような営業スタイルが理想なのか。下澤さんは次のように答える。

「講座終了後にアンケートに答えていただくと、『紹介だけで仕事が回っているようになりたい』という回答が多くなります。契約までに時間がかからないから、新規開拓の必要がないからという理由によるものでしょう。紹介が増えるきっかけは圧倒的に口コミです。その理由もたいしたものではありません」(下澤さん)

   保険営業の中には、ご主人と話したいと思う人が多い、と下澤さんは言います。ところが、決定権は妻が持っていることがほとんど。妻を味方にすることで契約につながりやすくなり、妻たちは応援者にもなってくれるのだとか。

「紹介の場合、新規開拓をしていないので、人間関係ができていないところから入っていきます。そこが苦手な人も多いはず。実は私の場合、ずっと応援していただいているお客様は、紹介ではなく、新規開拓からお客様になった人ばかりです。そして、重要なのは、基本的に紹介をいただいたら退職、転職はナシです」(下澤さん)
「責任も背負うことになりますが、紹介は『信頼』と『実績』から生まれます。紹介が少ないのは、『信頼』と『実績』がまだ足りていないからです。保険営業が交流会に参加しても難しい理由がここにあります。相手の立場になって考えるなら、参加して知り合っても、本当に信頼できて実績のある人でないと紹介が出しにくいのです」(同)

   本書は、生命保険業界を知り尽くした下澤さんが語る実用書である。過酷な営業ノルマで厳しいとも言われる保険営業の「選ばれるヒント」が見つかるかもしれない。(尾藤克之)

尾藤 克之(びとう・かつゆき)
尾藤 克之(びとう・かつゆき)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。著書は『最後まで読みたくなる最強の文章術』(ソシム)など19冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も連載中。
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