難関大生向け就活サイト「外資就活ドットコム」運営...ハウテレビジョン社員の平均給与はいくら? 気になる業績や株価もチェック!【よくわかる企業分析】

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   就職先や転職先、投資先を選ぶとき、会社の業績だけでなく従業員数や給与の増減も気になりませんか?

   上場企業の財務諸表から社員の給与情報などをさぐる「のぞき見! となりの会社」。今回取り上げるのは、外資系や日系超一流企業を目指す学生のための就活サイト「外資就活ドットコム」などを運営するハウテレビジョンです。

   創業者で代表取締役社長の音成洋介氏は、東京大学を卒業後、バークレイズ証券に入社。このときの体験談を記した個人ブログ「内定ネット」を母体に、2010年にハウテレビジョンを創業しました。社名はハウツー動画コンテンツの提供を想定したものですが、現在事業としては行っていません。2019年4月に東証マザーズ(現グロース)に上場を果たしています。

投資フェーズの大幅赤字から急成長遂げる

   それではまず、ハウテレビジョンの近年の業績の推移を見てみましょう。

   ハウテレビジョンの業績は右肩上がりに伸びており、上場直前の2019年1月期から4年間で売上高が2.3倍に増えています。

   一方、営業損益は2021年1月期に2億円を超える赤字となり、翌期の黒字も4600万円にとどまっていました。しかし、2023年1月期には4億円近い黒字を生み出し、営業利益率も25.7%に跳ね上がっています。

   なお、ハウテレビジョンは2021年1月期を「投資フェーズ」と位置づけ、事業や人材への投資を実行したことが赤字につながりました。翌2022年1月期には前期の戦略投資を踏まえ、既存事業の安定的な高成長を継続し、新規収益モデルの創出にも取り組んでいるとのことです。

   2023年1月期は、中途サービスの領域で採用企業・転職エージェントの利用が拡大してスカウト送付数・マッチング数が増加し、採用企業の掲載料やエージェントの成功報酬が伸長したことが大幅増益の要因となっています。

   2023年1月期の実績は、売上高が業績予想値の17億円を下回りましたが、全社でのコスト削減に努めた結果、営業利益・経常利益・当期純利益は予想値を上回りました。

   2024年1月期の業績予想は、売上高は前期比36.1%増の21億円、営業利益は同13.5%増の4億5000万円と、いずれも過去最高業績を更新する見込みです。

「外資就活ドットコム」は就活を行う東大生の9割以上が利用

   ハウテレビジョンは「キャリアプラットフォーム事業」の単一セグメントですが、主に2つのサービスを展開しています。

   1つ目が「外資就活ドットコム」で、販売額の80.4%を占める主力事業です。このサービスは新卒学生向けキャリアプラットフォーム(新卒)で、コラムや本選考・インターンシップ情報、学生同士のコミュニケーション機能、社会人から直接回答が得られるOB/OG相談室などのコンテンツを揃えています。

   2021年4月末時点の登録会員の大学分布はMARCH・関関同立・千筑神横広以上の有名大学で約7割を占め、就活を行う東大生の9割以上が利用しているそうです。

   大学生は無料でサービスを利用できますが、優秀な学生を採用したい採用企業に対しては、企業情報の掲載を行ったり登録会員にアプローチする権限を与えたりすることで、募集広告の掲載料や成約課金等の手数料を収受し、サービスの収益化を図っています。

   2つ目が全社販売額の19.6%を占める「Liiga(リーガ)」で、若手社会人向けリクルーティング・プラットフォーム(中途サービス)です。就活を終えた「外資就活ドットコム」の登録会員に、内定者向けコンテンツ等を通じて登録誘導を図ります。

   「Liiga」の収益は、「ダイレクト・リクルーティング」において採用企業から収受するシステム基本利用料と成功報酬、および「転職エージェント」において人材エージェントから収受する転職成功報酬です。

   この2つにサービスに加え、登録会員向け有料講座事業や、CtoCサービスの知見共有プラットフォーム「Mond」の運営等も行っています。

   なお、2023年1月期末時点の累積取引社数は前期末から88社増の796社、累計会員数は前期末から8万5984人増の46万8961人となっています。

平均年齢34.2歳、平均年間給与700.5万円

   ハウテレビジョンの従業員数は、2019年2月末現在の32人から、2020年1月期末の37人に増え、「投資フェーズ」で赤字になった2021年1月期末には56人に急増、2022年1月期末の59人に達しました。しかし2023年1月期末は、54人に減少しています。

   ハウテレビジョンの平均年間給与(単体)は、2020年1月期に618.6万円まで下がりましたが、そこから右肩上がりに伸びてゆき、2023年1月期には平均年齢34.2歳、平均勤続年数2.7年、平均年間給与は700.5万円となっています。

   ハウテレビジョンの採用サイトには「Sales & BizDev」「Marketing」「Product & Engineering」の幅広い職種の求人が掲載されています。

   エンタープライズ向けセールスのマネージャー候補の求人では、外資就活ドットコムを活用し、トップ企業を中心とした担当クライアントの採用ブランド力強化に向けた採用戦略提案を行うとしています。

   想定年収は600~800万円。週2日出社(東京・赤坂のアーク森ビル)とリモートの「ハイブリッドワーク」で、法人として疾病をカバーする医療保険に加入し入院などの場合に給付金が支払われるなどの福利厚生もあります。

優良なユーザー・顧客基盤はもっと活用できる

   ハウテレビジョンは2019年4月24日に上場し、公開価格は1210円、初値は3745円でした。5月には4980円の高値をつけましたが、その後は2000円台に急落。2020年3月には一時1000円を割り込みました。

   その後、1000円台を推移した後、2022年10月に5790円の上場来高値、2023年3月に4930円の年初来高値をつけ、現在は3000円台後半を推移しています。

   新卒サービスの「外資就活ドットコム」、中途サービスの「Liiga」ともに、ハイクラス人材の就職・転職を支援するサービスであり、難関大生・卒業生のユーザー基盤、一流企業をクライアント基盤として有していることは、会社の大きな資産です。

   さらに近年は理系学生の割合が高まっており、2020年卒の35%から2024年卒は43%に。従来マッチングを行ってきた外資系プロフェッショナルファームに加え、アメリカ西海岸の先端IT企業のソフトウェアエンジニアとしての需要が高まっているとのことです。

   これに加えて、自社の顧客企業群に対してクロスセルが可能なサービスを保有している企業や、自社ユーザーに対してオンラインサービスを通じて「能力開発」の機会を提供している企業などを対象に、M&Aやアライアンスを積極的に検討するとのことです。(こたつ経営研究所)

こたつ経営研究会
こたつ経営研究会
有価証券報告書や決算説明書などの公開情報を分析し、会社の内情に思いをめぐらすニューノーマルな引きこもり。昼間は在宅勤務のサラリーマンをしながらデイトレード、夜はネットゲームをしたりこたつ記事を書いたりしている。好きなピアニストはグレン・グールド。嫌いな言葉は「スクープは足で稼げ」。
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