まだまだ続く「食品値上げ」 「緊急値上げ」は落ち着き、「計画的値上げ」が始まった...賢く買い物するにはどうしたら?

   卵や牛乳、ウインナーにパン...2022年から続く食品の値上げが止まらない。

   2022年度の生鮮食品を除く消費者物価指数は前年度比3.0%上昇となり、1981年以来41年ぶりの高水準とるなか、帝国データバンクが発表した「『食品主要195社』価格改定動向調査‐傾向データ分析」(2023年4月30日発表)によると、多くの食品は値上げ発表から出荷までのサイクルが長期化していることがわかった。

   今後の見通しではこれからも値上げの波は続いていくことが予測され、家計を考える人には悩ましい状況がまだまだ続きそうだ。

  • 賢く選んで家計を節約!(写真はイメージです)
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値上げの発表日から出荷までの日数差が長期化の傾向 計画的な値上げが今後も続く?

   この調査は、帝国データバンクが2022年に行った調査と、2023年4月末時点までにまとめた国内の主要な食品や飲料メーカー195社がこれまでの値上げした食品累計4万5000品目の値上げデータをもとに生鮮食品を除く食品値上げについて試算したもの。

   調査によると、小麦の取引相場低下を背景にしたパスタの値下げなど、一部製品では価格引き下げの動きがあるものの、多くの食品では原材料高など引き続き、値上げ圧力が強く、少なくとも今秋までは断続的に値上げが続く傾向がみられるという。

   そんななか、多くの食品では値上げの告知から実施日までの「モラトリアム」が2カ月以上あり、食品分野によっては値上げ実施日がそろって同日のケースもあるようだ。

(帝国データバンクの作成)
(帝国データバンクの作成)

   2022年から2023年の食品値上げ日数のデータを見てみると、2022年1~6月の値上げ実施日までの日数差の平均は67.5日であったのに対し、2022年平均では68.4日まで伸びている。

   また、2023年1~6月まででは70.9日まで伸長しており、前年同期比でプラス3.4日となっている。

   食品の分類別でみると、カップラーメンや加工肉などの加工食品は2022年の値上げまでの日数は75.5日から71.6日まで早まっているものの、調味料では7.5日伸びて82.9日、菓子は13.0日伸びて67.8日、乳製品は20.3日伸びて54.3日という数字になった。

(帝国データバンクの作成)
(帝国データバンクの作成)

   全体として2022年と比べて食品メーカー各社による値上げの発表日から実施日(出荷日)までの日数差(値上げ日数)が、2023年度は長期化の傾向にある。

   調査結果をみても、2022年1~6月期の値上げ発表から実施までの日数が2カ月以上の品目数は90日未満の「49.6%」と90日以上の「28.2%」を合わせて「77.8%」から、2023年1-6月期の90日未満の「46.9%」、90日以上の「34.4%」を合わせた「81.3%」にまで増加している。

   同社では

「背景には、値上げに対する『スタンスの変化』が要因の一つにあげられる。 2022年は、特に4月以降の国際的な原材料高や原油高、さらに急激に進んだ円安の影響で大幅なコストアップに直面したものの、多くの食品で『値上げ慣れ』しておらず、価格アップへの抵抗感から価格の据え置きや『実質(ステルス)値上げ』などで対応する状態が続いた」

   と分析する。

   また、

「原材料価格の上昇ペースが企業努力で制御可能な範囲を超えた企業が相次ぎ、採算確保のために価格改定を急いだケースが多く発生した。特に急激な円安進行の影響が直撃した11月は値上げ発表から実施日まで46.2日と最も短く、差し迫った『緊急値上げ』の動きが目立った1年だった」

   と2022年を振り返る。

2023年4月以降9000品目の値上げ続く...情報を集め、安い時に買い置きする賢い購買行動を!

(帝国データバンクの作成)
(帝国データバンクの作成)

   一方で、2023年4月以降の主な値上げ品目を見てみると、4月にはしょうゆやマヨネーズなどの調味料、ハムやウインナーなどの加工食品、輸入ワイン、パック牛乳などの5106品目が値上げされた。

   5月には、サバ缶など各種缶詰、乳幼児粉ミルク、缶コーヒーなど793品目が値上げ。6月には即席めん、スナックチョコレート、わさび・からし、カレールーなどをはじめとした3322品目が値上げされている。

   2023年度の傾向について同社では、

「2023年は引き続き原材料費の高止まりに加え、輸送費や電気代の高騰でもコストが増えている。
こうしたなか、企業・消費者側双方で値上げを『やむを得ない』と捉える認識の広がりもあり、コスト増分について柔軟かつ計画的に価格転嫁を行う企業が増えている。 そのため、足元の原材料価格動向や採算ラインなど値上げの前提条件を複数設定するケースもあり、22年に比べ値上げに対する抵抗感が薄まっていることも『計画的値上げ』を後押しする要因となっている」

   と解説する。

   調査のまとめとして、帝国データバンク情報統括部の飯島大介氏に話を聞くと、

「原材料費高騰や従業員の賃上げなどさまざまな情勢が絡み、消費者としては今後もしばらくは値上げが続いていくという心構えは持った方がいいと思います。
そのなかで、自分のライフスタイルを考えながら、普段使っていたナショナルブランドの製品からプライベートブランドに切り換えたり、見切り品や訳あり品など安い商品に代替したりするような『賢い購買行動』が必要になってくるのではないでしょうか」

   と話していた。

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