あなたの残業、増えている?減っている? 社会人1万人調査で判明...残業「増加傾向」5業種とは?

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   2023年4月1日から中小企業の時間外労働で割増賃金の引き上げがある法改正が行われたが、ビジネスパーソンの残業時間はどうなっているのだろう?

   エン・ジャパン(東京都新宿区)が2023年5月8日に発表した「社会人1万人の『残業』実態調査―『エン転職』ユーザーアンケート」によると、最近残業が増加傾向の人は「26%」で、減少傾向は「24%」となった。減少傾向には会社から定時退社を促されていたり、残業が制限されていたりする実態が明らかになった。

   割増賃金引上げについては、4割の人が知っており、8割ほどの人は好感を示す一方、「賃金を増やすための残業はやむを得ない」「無理に仕事を終わらせる動きだと、サービスの質が落ちるのではないか」など、さまざまな意見が上がっている。

  • 残業時間増えた?減った?(写真はイメージです)
    残業時間増えた?減った?(写真はイメージです)
  • 残業時間増えた?減った?(写真はイメージです)

転職選びで残業平均時間が重要なビジネスパーソン84% 年代別・男女別の傾向は?

   この調査は、2023年2月22日から3月28日までの間、「エン転職」を利用するユーザー1万2940人を対象にインターネットアンケートを実施するもの。

「転職活動をする上で、残業の有無や平均時間等は、企業選びにどの程度影響しますか?」(エン・ジャパンの作成)
「転職活動をする上で、残業の有無や平均時間等は、企業選びにどの程度影響しますか?」(エン・ジャパンの作成)

   はじめに、「転職活動をする上で、残業の有無や平均時間等は、企業選びにどの程度影響しますか?」と聞いた。

   「とても影響する」は最多で「49%」、「少し影響する」は「35%」、「あまり影響はない」は「13%」となり、「とても影響する」と「少し影響する」を合わせて「84%」の人は残業時間が転職先選びに影響していることがわかった。

年代別集計(エン・ジャパンの作成)
年代別集計(エン・ジャパンの作成)

   年代別で見てみると、20代は「とても影響する」と「少し影響する」を合わせて「89%」となり、30代でも合わせて「88%」に上るなど、転職先選びで残業の有無は重要なようだ。

男女別集計(エン・ジャパンの作成)
男女別集計(エン・ジャパンの作成)

   また、男女別の集計を見てみると、男性は「とても影響する」と「少し影響する」を合わせて「80%」の人が、女性は合わせて「87%」の人が重要視しており、男性よりも女性の方が残業時間によく注目しているようだ。

   「とても影響する」と「少し影響する」と回答した人のコメントを見てみると、

・基本的には「その環境で本当に自分自身をスキルアップさせられるか」を重要視しますが、やはり残業の平均時間も少し見ます。平日であっても家族と少しでも一緒にいられる時間を確保したいからです。(23歳男性)
・残業が前提になっていて、みなし残業代を超えないようタイムカードを切らされる職場で働いていました。社員のモチベーションが低く、たいへん働きにくい環境だったため、次の転職先は残業がほとんどなく、ある場合も正当に賃金が支払われる会社に転職したいという意思があります。(27歳女性)
・子供がいたり、ペットを飼っていて一人暮らしの場合、残業は難しい。残業無し、もしくは月20時間までで探す場合が多い。残業が月20時間以上ある職場は基本的に選ばないです。(41歳女性)

   といった意見があがっている。

残業時間「増加」は26%、「減少」は24%で拮抗

残業時間の増減(エン・ジャパンの作成)
残業時間の増減(エン・ジャパンの作成)

   続いて、残業時間の増減について質問すると、増加傾向とした人は「26%」、減少傾向とした人は「24%」となり、変わらないとした人は「50%」に上るという。

業種別集計(エン・ジャパンの作成)
業種別集計(エン・ジャパンの作成)

   一方、業種別の集計を見てみると、増加傾向が全体平均の「26%」を超えていた業種は「コンサルティング・士業」「商社」「サービス(飲食・教育・福祉など)」「マスコミ・広告・デザイン」「不動産・建設・設備」の5業種となった。

残業時間増加の理由(エン・ジャパンの作成)
残業時間増加の理由(エン・ジャパンの作成)

   また、残業が増加傾向と回答した人にその理由を聞いてみると、「人員が足りないため」が最多の「75%」。次いで「仕事量が増えてきたため」が「67%」で続き、以下「仕事の割り振りが偏っているため」(28%)、「残業を前提として仕事を支持されるため」(20%)、「仕事の?閑の差が大きいため」(17%)、「会社が増員(採用)を抑制しているため」(16%)の順となった。

残業時間減少の理由(エン・ジャパンの作成)
残業時間減少の理由(エン・ジャパンの作成)

   つぎに、減少傾向の理由を聞いてみると、「残業が制限されたため」(42%)、「仕事の量が減ったため」(33%)、「定時を前提としているため」(17%)、「仕事を早く済ませる風土があるため」(17%)の順となった。

残業代の割増制度の認知度は4割 「給与増のためには残業増もやむを得ない」の声も

   最後に、中小企業で働く人の「月60時間を超える残業代の割増率が50%に引き上げ」されることを知っているかと、どう思うかを質問した。

「月60時間を超える残業代の割増率が50%に引き上げ」されることを知っているか(エン・ジャパンの作成)
「月60時間を超える残業代の割増率が50%に引き上げ」されることを知っているか(エン・ジャパンの作成)

   その結果、「内容も含めてよく知っている」(9%)と「概要だけ知っている」(30%)を合わせて、4割程度の人が「知っている」と回答した。

引き上げをどう思うか?(エン・ジャパンの作成)
引き上げをどう思うか?(エン・ジャパンの作成)

   引き上げについては、「とても良いと思う」(47%)と「良いと思う」(33%)を合わせた「80%」の人が好感を示した。

   かたや、「良くないと思う」(8%)と「とても良くないと思う」(1%)を合わせた「9%」の人はあまりよく思っていないようだ。

   それぞれのコメントを拾い上げてみると、好感を示した人は、

・規定ができれば、遵守しなければいけないし、60時間未満におさえるよう企業側も対策してくれれば、より働きやすくなると感じました。(25歳男性)
・大手企業は以前から対応していたと思うので、統一されるのはいいことだと思う。(32歳女性)
・企業としては生産性を上げるチャンスだといえるし、従業員側としては、手取りアップかワークライフバランスを重視するか、見直すきっかけになると思う。(44歳男性)

   という意見が上がった。

   他方で、

・賃金が上がるなら多少の残業は我慢すべきという、残業の常在化に拍車をかけてしまいかねないような危ない雰囲気を感じる。(27歳女性)
・残業代を稼ごうとして、わざと非効率な仕事の進め方をしてしまう人が出てくる可能性があるから。(33歳女性)
・無理にでも定時内で仕事を終わらせようという動きになると、業種によっては提供するサービスや商品の質が低下してしまうのではないか。(42歳男性)

   など、さまざまな意見があることがわかる。

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