バイデン氏には「憲法14条」という「伝家の宝刀」があるが...
一方、明るい材料もあると指摘するのは、米州住友商事ワシントン事務所調査部長の渡辺亮司氏だ。同氏はヤフーニュースコメント欄で、
「今やバイデン政権はすべての行動を2024年大統領選への影響に基づき判断。債務上限問題の対応を誤れば、経済悪化で自らの再選を阻むリスクがある。本日のバイデン氏とビッグ・フォー(上下両院の民主党・共和党トップ4人)の会談成果は、協議を継続することに合意したことのみ。これまでバイデン氏は交渉を拒否していたことからも、Xデーが迫るなか、協議継続は好材料」
と指摘。そして、今後の展開をこう予想した。
「デフォルトに陥ることもいとわない下院共和党の保守強硬派の票をマッカーシー下院議長は頼りにせず、下院民主党議員の一部の協力を得てデフォルト回避の可能性も高まっている。
だが、その選択では同氏は保守強硬派により議長職解任に追い込まれるかもしれない。なお、憲法修正第14条を大統領が発動し、デフォルトを回避する手法も議論が活発化している」
実は、米国憲法修正第14条第4項には、「法律により授権された合衆国の公の債務の効力は、(中略)これを争うことはできない」との条文がある。これを根拠に、法定債務上限を超えて政府は国債発行を継続できるとする憲法学者もいる。
つまり、大統領にとって「伝家の宝刀」になるわけだが、これについては憲法学界でも政界でも見解が分かれている。
イエレン財務長官は、「債務上限問題は議会で解決されるべき問題である」として、仮に国債発行をめぐり大統領が宝刀を抜けば、違憲か合憲かの大論争になり、「米国は憲法上の危機に直面する」と警鐘を鳴らしているのだ。