米国のデフォルトは、金融市場の大混乱と世界経済悪化を招く
今回の事態をエコノミストとはどう見ているのか。ヤフーニュースコメント欄では、日本総合研究所上席主任研究員の石川智久氏は、
「米国の債務支払い能力ではなく、債務上限問題という技術的なデフォルトとはいえ、デフォルトであることには変わりはなく、世界的に金融市場の大混乱が予想されます。
また、世界経済の急激な悪化にとどまらず、米国の威信にかかわります。もちろん、社会保障や公務員の給料などを先送りして、利払いを優先させることもできるのですが、その場合は、金融市場の動揺は回避できても、米国内で社会不安が高まることが懸念されます」
と説明。そのうえで、
「米国の債務問題は、社会保障支出の増加や利上げによる利払い費増などもあり、今後も悪化する可能性が高く、引き続き世界の金融リスクになるとみられます」
と、今後も繰り返しリスク要因になると指摘した。
同欄では、上智大学総合グローバル学部学部長の前嶋和弘教授(現代米国政治・外交)は、
「確かに債務上限問題はG7出席よりも国内問題としては重要。おそらく国際的な影響を考えても、債務上限問題はG7より大きい。『G7欠席の可能性』がどれだけマッカーシー下院議長に対する牽制になるのかどうかという部分はみえないのですが、それでも共和党側は妥協しないかもしれません」
と、バイデン大統領のG7欠席はやむを得ないとした。
同欄では、成蹊大学法学部政治学科の西山隆行教授(比較政治・米国政治)も「債務上限問題」はG7より大きい、とみる。
「米国の二大政党が債務上限問題で妥協することができずにデフォルトになると、世界経済に甚大なる影響を及ぼすとともに、米国の信頼が揺らぎます。バイデン氏がG7よりもこちらを重視するのは当然の判断ですが、連邦議会下院共和党内の強硬派がデフォルトも辞さない非妥協的な態度をとっているので、問題を回避できるかは不透明です」
こう指摘した。さらに、
「仮に今回問題を回避したとしても、今後も同様のリスクを抱え続けることになるため、抜本的な改革ができないかという問題提起も行われるようになっています」
と、債務上限問題は米国政治の「がん」だとした。