「債務上限問題」で米国政府がデフォルト(債務不履行)に陥る「Xデー」が迫るなか、2023年5月9日(米国時間)、バイデン大統領と野党共和党幹部らとの会談が物別れに終わった。
共和党側は債務上限に対応する条件として、厳しい歳出削減を求めているが、バイデン政権は歳出削減を伴わない無条件の債務引き上げを求めており、大統領選を控え、両者一歩も引かない構えだ。
バイデン大統領は問題解決を最優先するとして、広島G7サミットに欠席する可能性に言及した。バイデン氏が来なかったら、どうする岸田文雄首相? デフォルトになったら、どうなる世界経済? エコノミストの分析を読み解くと――。
バイデン大統領「米国は借金を踏み倒す国ではない」と強気の姿勢
米国では、財政規律を守るため政府が国債などを発行して借金できる上限をあらかじめ議会が定めている。その米政府債務が31兆4000億ドルの法定上限に達し、議会で上限引き上げなどを決めなければ、政府がデフォルト(債務不履行)に陥る「Xデー」6月1日が近づいてきた。
こうしたなか、バイデン大統領は5月9日、ホワイトハウスで野党・共和党のマッカーシー下院議長ら議会指導部と会談、上限引き上げに向けて協力を要請した。しかし、会談は双方が従来の主張を繰り返しただけに終わり、5月12日に再会談を行うが、決着がつくか極めて厳しい情勢だ。
会談後、マッカーシー議長は記者団に対し、「上限引き上げには大規模な財政支出の削減が必要だ」と改めて強調、「協議に進展はなかった」と述べた。
一方、バイデン大統領は、「米国は借金を踏み倒す国ではない」「上限引き上げは、いま最も重要な問題だ」と述べ、問題が解決しなければ5月19日からのG7を欠席する可能性を示唆し、共和党に譲歩しない強気の姿勢を示した。
日本政府は大慌てだ。5月10日、松野博一官房長官は記者会見で「米国政府から本件にかかる通告などは一切受けていない。いずれにせよG7広島サミットでは、米国とも緊密に連携し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くとの意思を力強く世界に示したい」と述べるにとどめた。