東宝株、連日の年初来高値...「TOHOシネマズ」映画鑑賞料金値上げを好感 一般料金は1900円→2000円に

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   東宝の株価が2023年5月2日の東京株式市場で前日終値比50円(0.9%)高の5450円まで上昇し、3営業日続けて年初来高値を更新した。

   前日の5月1日、傘下のTOHOシネマズが、6月1日より映画鑑賞料金を値上げすると発表したことが、業績改善に寄与すると受け止められ、株価を押し上げた。

各種コスト増から値上げ「決断」 証券会社リポート「企業経営変化の兆しとして高く評価」

   まず、値上げの内容を確認しておこう。一般料金は1900円から2000円に100円値上げする。そのほか、シニアなど5種はいずれも100円値上げ。

   具体的には、シニア1200円→1300円▽レイトショー1400円→1500円▽ファーストデイ1200円→1300円▽シネマイレージデイ1200円→1300円▽TOHOウェンズデイ1200円→1300円。映画鑑賞料金の値上げは消費税増税を前に実施した2019年以来、4年ぶりとなる。

   なお、対象劇場は全国のTOHOシネマズ71拠点。大学・高校・中学・小学生と幼児、障がい者割引は据え置く。

   東宝は値上げについて、「エネルギー価格の高騰や円安による仕入れコストの上昇、アルバイト人件費を中心とした運営コスト増や各種設備投資における負担増等により、企業努力だけではこれらの吸収は極めて困難」と説明している。

   SMBC日興証券は5月2日に配信したリポートで「業界のリーディングカンパニーとしての決断、貪欲に収益性を高めようとする企業経営変化の兆しとして高く評価したい」と記した。

   一方で、入場者当たりの単価上昇に向けては「(繁忙・閑散期などに応じて値付けする)ダイナミクスプライシングやサブスクリプションサービス、高単価なプレミアムシートの浸透などさらなる施策を打つ余地がある印象」とも指摘した。

24年2月期連結決算の最終利益予想は16.2%減の280億円...保守的な印象か 値上げと人気作はどう影響?

   東宝の足元の業績は好調だ。4月13日に発表した2023年2月期連結決算は会計基準変更により前期と単純比較できないものの、映画「すずめの戸締まり」などのヒット作に恵まれ、売上高は7%程度、各利益とも10%以上伸びている。

   2024年2月期連結決算の業績予想については、アニメの制作費用などがかさむとして最終利益を前期比16.2%減の280億円とするなど、保守的な印象を投資家に与えている。業績予想発表後に公表した映画鑑賞料金の値上げが業績にどう寄与するかは、見通しにくい面もある。

   ただ、24年2月期は「SPY×FAMILY(スパイファミリー)」など、人気を呼びそうな映画の公開を予定している。値上げが業績にプラスに働いた場合は、予想以上に収益が改善する可能性もありそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)

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