報連相ができない?! 仕事がブラックボックス化してる新入社員...どう育てる?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE28(前編)】(前川孝雄)

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   「前川孝雄の『上司力(R)』トレーニング~ケーススタディで考える現場マネジメントのコツ」では、現場で起こるさまざまなケースを取り上げながら、「上司力を鍛える」テクニック、スキルについて解説していきます。

   今回の「CASE28」では、報連相ができない?! 仕事がブラックボックス化する新入社員の教育に悩むケースを取り上げます。

「ホウレンソウって何のことですか?」

【A課長】君のマネジメントの悩み...今度はどうした?
【B課長(同期の同僚)】それが、新人にいくつか任せた仕事の進捗状況に、やきもきすることが多くて。それがストレスでね...。
【A課長】なんだ、それなら本人に日々、報告させたらいいだろう。
【B課長】しかしな、任せた仕事に毎日チェックを入れてたら、信頼してないようで傷つくだろう。本人の主体性を削ぐのも良くない。だから、少々我慢も必要かと思ってね...。
【A課長】君にしては冷静じゃないか。感心、感心。
【B課長】とは言え、限度というものもある。たまりかねて「〇〇さん、その後、報連相はどうなってるかな?」と、優しく訊いてみたんだ。
【A課長】そうか、そうしたら何だって?
【B課長】「ホウレンソウって何のことですか?人違いじゃないですか」だって。愕然としたよ。
【A課長】ハハハ!そりゃあいい。「ポパイの好物に決まってるだろ!」って言ってやれよ。
【B課長】今どきの若者が、ポパイ知る訳ないだろ!他人ごとだと思って好き勝手言うな!(それにしても、どうしたもんやら...(◞‸◟))

新入社員は「報連相」が不得手になりがち

   仕事は一人で完結するものではなく、上司が最終責任を負いながら、チームで動かしていくもの。そのためには、職場での適切な報連相(報告・連絡・相談)はとても重要...。言うまでもない職場のルールですが、社会経験の浅い新入社員にとっては、不得手な場合も多いものです。

   「何を、いつ、誰に」報連相をするべきか、新入社員にはなかなか判断がつかないのです。この状態を放置すると、多忙な上司・先輩の様子に遠慮して、仕事の円滑な進捗にとっても本人の成長にとっても、好ましくない状況が続きます。

   また、任される仕事が少しずつ増え、仕事への責任が増えたとしても、報連相を減らしてよいわけではありません。むしろ、より求められるようになってくるのです。

   そこで、上司には新入社員に報連相の意義を説明し、実践をバックアップすることが求められます。

「報連相」の役割と意義を伝える

   まず、新入社員には報連相の役割と意義をしっかりと伝えきましょう。主なポイントは次のとおりです。

●報告

   上司・先輩に対して行うもの。上司・先輩は新入社員に任せている仕事について最終的な責任を負う立場。そのため、責任者に状況を伝えるのは大切な義務。

●連絡

   同僚をはじめ、共に仕事をする関係者に行うもの。仕事は多様な人との連携で進むため、必要な情報を影響の及ぶ範囲の人に適切に伝えることが必須。

●相談

   一人ではできないことについて、上司・先輩や関係者の知恵を借りること。困難も多くの人が集まれば解決できるという、組織の価値を発揮するもの。

   こうしたポイントの説明を行ったうえで、さらに報連相の実践的なトレーニングを行うことが有効です。その具体的な方法については、<報連相ができない?! 仕事がブラックボックス化してる新入社員...どう育てる?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE28(後編)】(前川孝雄)>で解説していきましょう。

※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)をご参照ください。
※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。


【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授

人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『コロナ氷河期』(扶桑社)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版)、『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks)、『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所)等30冊以上。最新刊は『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)。

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