FRB利上げ、それでも米国経済を襲う「3つの危機」 エコノミストが指摘「政府のデフォルト」「始まったばかりの銀行不安」「マイナス成長の景気後退」

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米国の金融危機は始まったばかり、かなり長期化する?

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米国経済はどうなる?(写真はイメージ)

   その「米国の銀行不安」はまだ始まったばかりだと警告するのは、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。

   木内氏はリポート「米地銀の次の破綻・買収候補を探す金融市場:経営リスクの指標は預金流出から株価下落に」(5月8日付)のなかで、5月1日に米地銀ファースト・リパブリックバンクが破綻した後、次の破綻や買収候補として3つの銀行が挙がっていると指摘した。

   それは、カリフォルニア州のパックウエスト・バンコープ、アリゾナ州のウエスタン・アライアンス、テネシー州のファースト・ホライゾンの3行だ。

   いずれも経営営不安が強まり、株価が下落した。さらに地方銀行株全体の下落に歯止めがかからないなか、共通するリスクが浮き彫りになっているという。

「各行が低金利環境下で過剰な預金獲得も含めてビジネスを急拡大させたものの十分な金利リスクの管理を怠り、そうした中、金利急騰でそのリスクが一気に表面化したことである。それは、債券投資や固定金利での住宅ローンなどの貸出で生じた巨額な含み損の問題だ。大量の預金流出が生じると、こうした含み損を抱えた証券、貸出債権を売却せざるを得なくなり、損失が拡大して自己資本不足に陥る」
「他方、預金流出が生じなくても、投資家が銀行の破綻や身売りを意識すると、含み損分だけ株式の価値が切り下げられることを警戒し、株価が大きく下落することになる」

   つまり、経営不安を示す指標が、預金流出から株価下落に移ってきているわけだ。そして、木内氏はこう結んでいる。

「注目したいのは、現時点での銀行の資産の劣化は金利急騰によってもたらされたものであり、デフォルト(債務不履行)など信用リスクを反映したものではないということだ」
「この先、金利引き上げや銀行の貸出抑制によって米国経済の悪化が明確になれば、貸出資産の焦げ付き、不良債権問題が銀行経営の追加的な逆風となるだろう。このような点から、米国での銀行不安問題はかなり長期化することが予想されるところだ。銀行不安はまだ始まったばかりと言えるのではないか」

(福田和郎)

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