20から30代の転職市場が活況だが、採用する立場から見た20代経験者の採用状況はどうなっているのだろうか?
学情(東京都千代田区)が2023年5月2日に発表した「20代を対象とした経験者(中途)採用に期待すること」と、同じく5月8日に発表した「20代を対象とした経験者(中途)採用の難易度」によると、20代の経験者採用の難易度が高くなっていると回答した企業の人事担当者は8割を超えることがわかった。
また、採用理由をみてみると、「欠員補充のため」や「経験者採用強化のため」、「新卒採用だけでは、若手採用を充足できないから」などが並び、景気拡大に向けた企業の人員獲得の実態が明らかになった。
若手の採用難度上昇82.9% 採用手法や労働環境、労働条件の変更など努力する企業多く
この調査はどちらも同じ条件で実施。期間は2023年4月7日から4月21日まで。対象は経験者の中途採用において、20代を採用している企業・団体の人事担当者で有効回答数は421社となった。
はじめに20代を対象にした経験者採用の採用難度について聞いてみると、「難しい」と答えた割合は「44.7%」、「やや難しい」は「38.2%」となり、合わせて82.9%の採用担当者が20代の採用を難しく感じている実態が明らかになった。
また、20代の採用について「易しい」(0.0%)、「やや易しい」(1.2%)と回答する企業担当者はほぼ1%程度しかいないようだ。
同社の分析では
「『求人が増え、求職者に選ばれるためには努力が必要』『働きやすい環境の整備や、給与の引き上げなど、働く場所としての魅力を高めていかなければ採用できない』などの声が上がりました。
採用難易度の高まりとともに、働き方や待遇の改善など、求人の魅力を高めることが必要だと感じる企業が多いことが分かります」
としている。
続いて、経験者採用が1年前と比較してどのように感じるか聞いてみると、「難しくなった」が「29.2%」、「やや難しくなった」が「22.3%」となり、合わせて「51.5%」の担当者が採用難化を実感していることが見えてきた。
採用担当者の声を取り上げると
「少子化により、若い世代の採用が年々難しくなっている」
「採用の難易度が上がり、採用単価も上昇している」
「行動制限の緩和など、景気の拡大により各社の採用意欲が高まっている」
などの理由が挙げられた。
つぎに、採用難化を受けて、対応していること・対応を検討していることを尋ねてみると、「採用手法の変更・追加」(50.0%)、「採用体制や選考フローの見直し」(34.1%)、「社員の働き方・労働条件の見直し」(30.8%)、「採用基準の見直し」(30.2%)、「社員の処遇見直し・モチベーション向上」(30.2%)という順番になった。
同社では
「採用難易度の高まりとともに、働き方や待遇の改善など、求人の魅力を高めることが必要だと感じる企業が多いことが分かります」
とコメントしている。