地方銀行のeラーニング、行員のモチベーション上がらず 約6割が「低い」と回答...業務に直結しないから?

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   企業の社内研修がしっかり整備され、身についている印象が強い銀行員のeラーニング研修の実態を調査したところ、思わぬ「本音」が漏れた。

   オンライン学習プラットフォーム「UMU(ユーム)」を運営するユームテクノロジージャパン(東京都港区)が、eラーニングを導入する地方銀行の行員(有効回答105人)を対象に、「eラーニング活用に関する地方銀行員の実態調査」を実施。「eラーニングの受講に対するモチベーション」を聞くと、58.1%の銀行員が「(モチベーションが)低い」と答えたことがわかった。2023年4月26日の発表。

   その理由には、「eラーニングを実施する意義を感じない」「業務に直結しない」などと、辛らつな声が寄せられた。

モチベーションが「非常に低い」17.1%、「やや低い」41.0%

   調査によると、「あなたのeラーニングの受講に対するモチベーションを教えてください」(n=105)との問いに、「非常に高い」と答えた人は3.8%、「やや高い」が38.1%で、モチベーションが「高い」と答えた人は41.9%にとどまった。

   「非常に低い」と答えた人は17.1%、「やや低い」が41.0%で、モチベーションが「低い」との回答は58.1%にのぼった。

   前の質問項目で、「やや低い」「非常に低い」と答えた行員(n=61)に、「モチベーションが低い理由を教えてください」(複数回答)と聞いたところ、「(eラーニングを)行う意義を感じないから」と答えた人が31.1%、「業務に直結しないから」が27.9%、「業務時間外で受講させられているから」が24.6%と答えた。

   また、「コンテンツが長く退屈してしまうから」が23.0%、「受講が評価に繋がらないから」は18.0%、「コンテンツの内容が面白くないから」が9.8%、「コンテンツが多すぎてどれをやれば良いかわからないから」の8.2%と続いた。

   「その他」1.6%や「わからない/答えられない」という人も11.5%いた。【図1参照】

図1 モチベーションが低い理由を教えてください(オンライン学習プラットフォーム「UMU(ユーム)」調べ)
図1 モチベーションが低い理由を教えてください(オンライン学習プラットフォーム「UMU(ユーム)」調べ)

約5割が「業務パフォーマンス向上に直結しない」

   次に、「eラーニングでの学習は、自身の業務パフォーマンス向上に直結すると思いますか」(n=105)との問いには、「あまりそう思わない」と答えた人が34.3%、「まったくそう思わない」が11.4%で、パフォーマンスの向上に直結するとは「思わない」人は45.7%にのぼった。

   半面、「非常にそう思う」は5.7%、「ややそう思う」と答えた人は48.6%だった。

   前の質問項目で「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」と答えた行員(n=48)に、「業務パフォーマンス向上に直結しないと思う理由を教えてください」(複数回答)と聞いたところ、「実務に直結したコンテンツがないから」が35.4%、「動画視聴中心で受講自体が受け身になっているから」が35.4%、「自分に必要ないコンテンツが多いから」が33.3%といった答えが3割を超えた。

   また、「習得度・習熟度がわかりにくいから」と答えた人が22.9%、「会社から受講状況の確認がないから」が6.2%、「他の受講生への意見交換や質問ができないから」と答えた人も4.2%いた。「わからない/答えられない」は12.5%だった。【図2参照】

図2 業務パフォーマンス向上に直結しないと思う理由を教えてください(オンライン学習プラットフォーム「UMU(ユーム)」調べ)
図2 業務パフォーマンス向上に直結しないと思う理由を教えてください(オンライン学習プラットフォーム「UMU(ユーム)」調べ)

   また、「あなたは、eラーニング受講の復習や振り返りを実施できていますか」(n=105)との問いに、「あまりできていない」と答えた人が50.4%、「まったくできていない」が24.8%と、じつに75.2%の人が「実施できていない」と答えていた。

   「かなりできている」と答えた人は、わずか1.9%、「ややできている」も22.9%」だった。

   「あまりできていない」「まったくできていない」と答えた行員(n=79)に、「eラーニング受講の復習や振り返りを実施できていない理由」(複数回答)を聞いたところ、「復習・振り返りする時間がないから」と答えた人は51.9%で、最も多かった。

   次いで、「業務時間外で振り返りをしなければならないから」が29.1%、「モチベーションの維持が難しいから」が27.8%という結果となった。

   「会社から強く推奨されないから」は12.7%、「復習・振り返りの方法がわからないから」が11.4%、「システムが使いにくいから」と答えた人も5.1%いたほか、「個人で他の学習を行っているから」も3.8%いた。「わからない/答えられない」は5.1%。【図3参照】

図3 ラーニング受講の復習や振り返りを実施できていない理由を教えてください(オンライン学習プラットフォーム「UMU(ユーム)」調べ)
図3 ラーニング受講の復習や振り返りを実施できていない理由を教えてください(オンライン学習プラットフォーム「UMU(ユーム)」調べ)

eラーニング「勤務時間外のみ」の受講が36.2%

   さらに、「あなたは、eラーニングをいつ受講していますか」(n=105)と聞いたところ、「勤務時間内のみ」と答えた人が35.2%、「勤務時間外のみ」と答えた人が36.2%だった。わずかだが、「勤務時間外のみ」に受講している行員が多かった。

   「どちらでも受講しており、勤務時間内のほうが多い」とした人は15.2%、「どちらでも受講しており、勤務時間外のほうが多い」が5.7%、「どちらも同じくらい受講している」は2.9%だった。「わからない/答えられない」は4.8%。【図4参照】

図4 あなたは、eラーニングをいつ受講していますか?(オンライン学習プラットフォーム「UMU(ユーム)」調べ)
図4 あなたは、eラーニングをいつ受講していますか?(オンライン学習プラットフォーム「UMU(ユーム)」調べ)

   ユームテクノロジージャパンによると、

「今回の調査では、eラーニングを受講している銀行員が、実務に直結する内容を学ぶことができておらず、eラーニングに対するモチベーションを高く保てていない実態が明らかとなりました。勤務時間外に受講しているケースでは、よりモチベーションが下がってしまったり、復習や振り返りに時間を割くことが難しくなったりします。勤務時間内に、より実務に則した内容を取り入れることが重要といえます」

   と、地方銀行で導入しているeラーニングの効果が思うように発揮できていたい実態が浮き彫りになったとみている。

   なお、調査は、eラーニングを導入している地方銀行に勤めており、総合職かつ一般社員として働き、eラーニングの受講対象者である銀行員を対象に、2023年4月17日~18日に実施。有効回答者数は105人。

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