ロジックツリーで考える
次の章は、思考術である。ロジックツリーの使い方を説明している。ロジックツリーによる問題解決の基本は、以下の4項目だ。
1 論点を整理・分類する 2 各論点について数値分析をする 3 項目の重みづけをする 4 アクションに落とし込む
通勤電車の中でも、とにかく目に入るものすべてを使って、ロジックツリーを立てるという訓練方法を紹介している。良いロジックツリーをつくるには、適切な指導者が必要で、早い段階でスクールに通うことも勧めている。
つづいて、はじめに仮説ありき、という「仮説思考」の重要性を説いている。
コンサルティング会社の社内では、常に、仮説、仮説という言葉が飛び交うという。あらかじめ仮説を立てておくことで、調べるべきポイントを絞り込めていれば、効率的なリサーチをすることができるからだ。仮説→検証→フィードバックのサイクルを高速で回すことを目指す。
第3章では「デスクワーク術」を取り上げ、文書作成のすべては議事録書きから始まるとして、決まったこと、決まらなかったこと、確認が必要なこと、次回に向けてのTODO(誰がいつまでに)を簡潔にまとめることを強調している。
また、外資系コンサルならみんなやっている、パワーポイントとエクセルの小ワザも参考になる。
最終章では、ビジネスマインドについて教示している。
・時間をかけて完璧なものを目指すよりも、多少汚くてもかまわないので、とにかく早く作る ・チームの一員の責務として、リスクは早めに開示する ・コミットメントは伝染するので、社内ではコミットメントの高い人の近くにいる
......などの項目に共感した。コンサルティング会社ではない人でも使えるビジネススキルが満載なので、新人、若手社員に読んでもらいたい本である。
2014年に発行され、2023年2月で第25刷を重ねているロングセラーである。(渡辺淳悦)
「コンサル一年目が学ぶこと」 大石哲之著 ディスカヴァー・トゥエンティワン 1650円(税込)