環境と倫理に配慮した「エシカル消費」取り組んでいますか? 日米仏3か国調査で判明...日本は関心低すぎ!「エシカル」アプリ多いのに、利用者わずか8%

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

   近年、世界的に環境と倫理に配慮した「エシカル消費」が広がっているが、私たち日本人はどのくらい実践しているだろうか。

   そんななか、モバイル市場専門の調査会社「MMD研究所」(東京都港区)が2023年4月5日、日本とアメリカ、フランスの3か国国民の意識の違いを比べた「日米仏3ヶ国比較:都市部消費者の食の意識・動向調査第3弾 ~エシカル消費編~」を発表した。

   日本が、アメリカやフランスに比べて勝っているもの、また、まだまだ取り組みに足りない面とはいったいなにか?

  • 「エシカル消費」に取り組んでいますか?(写真はイメージ)
    「エシカル消費」に取り組んでいますか?(写真はイメージ)
  • 「エシカル消費」に取り組んでいますか?(写真はイメージ)

日米仏3か国比較、「マイバック持参」は日本がトップだが...

   「エシカル」(ethical)とは、「倫理的な」「道徳上の」という意味の形容詞だ。つまり、「法律などの縛りがなくても、みんなが正しい、公平だ、と思っていること」を示す。欧米を中心に倫理的活動に基づく「エシカル経済」「エシカル経営」「エシカル商品」「エシカル消費」といった言葉が広がっている。

   「エシカル消費」とは、何かしらの犠牲の上に成り立っているのではなく、自分、そして他の人や社会、地球環境、自然にとってもよいものを積極的に選ぼう! という消費活動だ。

   具体的には、フードロスに配慮した食品、児童労働を伴わない衣料品、生産過程で家畜の「福祉」に配慮した畜産物、有機・無農薬農産物、再生可能エネルギーで生産された商品などが挙げられる。

恵みの野菜(写真はイメージ)
恵みの野菜(写真はイメージ)

   日々着ているもの、食べているもの、飲んでいるもの、使っているモノやサービス、商品が、どこで、どのように、誰に作られ、どんな会社によって提供されているかを知ることが重要だ。

   MMD研究所の調査は、日米仏の都市部に住む20歳~49歳の男女合計1242人(日本430人、アメリカ406人、フランス406人)が対象だ。

   まず、環境問題や倫理的な消費への意識から取り組んでいること・心がけていることを聞くと(複数回答可)、3か国いずれもトップ3は「買い物時にマイバックを持つようにしている」「食品ロスがでないように心がけている」「外出時にマイボトルを持つようにしている」だった。日本では「マイバック持参」(56.5%)が1位だが、米仏は「食品ロスがでないよう心がける」(53.2%、57.5%)が1位だ【図表1】。

(図表1)「エシカル消費」に取り組んでいること・心掛けていること(各国別)(MMD研究所の作成)
(図表1)「エシカル消費」に取り組んでいること・心掛けていること(各国別)(MMD研究所の作成)

「動物福祉」に全世代の関心が高いフランス

   さすがにフランスは「環境先進国」と言われるだけあって、「マイバック持参」と「植物肉・培養肉・代替肉を取り入れている」以外の項目では、日本と米国を引き離している。一方、日本は「マイバック持参」が米国とフランスを上回った以外は、すべての項目で後れをとっている有様だ【再び図表1】。

   続いて、日本が米仏に対して20.0%以上の取り組みに差がある回答を確認すると、5つあった。

   「動物福祉が考えられた商品を購入するようにしている(放し飼い卵、動物実験なしなど)」がフランスに対し、マイナス30.4ポイント(米国にはマイナス20.2ポイント)で最も差が大きい。次いで「有機農産物・無農薬農産物を購入するよう心がけている」がフランスに対し、マイナス26.8ポイント。「コンポストや生ごみ処理機等を使い、家庭ごみを減らしている」がフランスに対し、マイナス25.4ポイントとなった【再び図表1】。

   また、「リサイクル品やアップサイクル品を積極的に取り入れている」が米国に対し、マイナス20.1ポイントだった【再び図表1】。

(図表2)「エシカル消費」で日本が他国と比べ、特に差が大きかった3項目(MMD研究所の作成)
(図表2)「エシカル消費」で日本が他国と比べ、特に差が大きかった3項目(MMD研究所の作成)

   【図表2】は、日本が米国やフランスとの差が特に甚だしい3項目を、年代別に比較したグラフだ。

   これを見ると、「動物福祉が考えられた商品を購入するようにしている」は、フランスの20代の割合が最も高く36.9%だった。フランスは20代~40代すべての年代で同程度の割合が「動物福祉」に取り組んでいることがわかる。一方、日本では20代~40代すべての年代で8%以下だ。

   「コンポストや生ごみ処理機等を使い、家庭ごみを減らしている」も、フランスの20代の割合が最も高く33.8%だが、日本では20代~40代すべての年代で5%以下だった【再び図表2】。

こんなに多い「エコシル消費」アプリ、使ってみては?

   ところで最近、食品ロス削減を目的としたスマートフォンアプリが広がっているが、日米仏3か国の利用者はどのくらいいるのか。

   【図表3】がアプリの認知&利用&興味を調べたグラフだ。これを見ると、利用経験は日本が8.4%、アメリカが36.9%、フランスが53.7%と、日本での広がりが一番遅れているのがわかる。

(図表3)食品ロス削減アプリの認知&利用&関心状況(各国別)(MMD研究所の作成)
(図表3)食品ロス削減アプリの認知&利用&関心状況(各国別)(MMD研究所の作成)

   さて、「食品ロス削減アプリ」を含めて「エシカル消費」に役立つアプリにはどんなものがあるのか。

   【図表4】が今回、調査に協力してくれた3か国の人々が「利用してよかった」と推奨するアプリ名の一覧だ。アプリ説明の欄では、アプリ名をもとにApp StoreやGoogle Playでの説明文などから引用・作成している。

(図表4)各国で利用者が多い「エシカル消費」アプリ(MMD研究所の作成)
(図表4)各国で利用者が多い「エシカル消費」アプリ(MMD研究所の作成)

   「エシカル消費」に取り組む気持ちと関心があれば、ぜひ使ってみてはいかが。

   調査は、世界各国でインターネットリサーチを行なっている「GMOリサーチ」(東京都渋谷区)が提供する海外パネルを利用し、日本(東京)、アメリカ(ニューヨーク)、フランス(パリ)に住む20歳~49歳の男女を対象に2023年2月15日~2月20日までアンケートを行なった。調査対象者は、日本430人、アメリカ406人、フランス406人の合計1242人。(福田和郎)

姉妹サイト