敦賀原発2号機、原子力規制委が審査中断 事業者・原電の申請書、誤り続発で 重なる不手際、原発を操る資格あるのか?

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新聞社説、「安全性軽視」を厳しく追及 「原発推進」の産経は、審査ストップした規制委を批判

   岸田文雄政権が原発拡大に政策を転換したなかで、原電の不手際は、政権にとっても痛いところだ。世論もの目も厳しい。福島第1原発事故で思い知らされた原発という「危険な装置」を動かす事業者として、原電の適格性に疑いの目が向くのは、一連の経過を見れば当然だろう。

   大手紙の論調も、全体に厳しい。

   もともと脱原発の毎日新聞は23年4月20日の社説で、「安全性に関わる書類を整えられないような組織に、原発の運転を任せられるのか」と、原燃という組織に疑問符をつける。

   同じく東京新聞社説(4月11日)も、「安全審査の礎となる資料をおろそかにするということは、すなわち、安全を軽んじているということだ」と断じ、「原電には、底知れぬ危険性をはらむ原発を操る資格があるのだろうか。......資料を整えるのにこれほどの不手際を重ねて、どうして、運転では決して不手際はない、と言い切れるだろう」と指摘する。国民目線からすれば、当然の指摘だろう。

   一方、原発推進の日本経済新聞は、今回の行政指導について社説では取り上げていないが、データ書き換えが発覚した際の社説(2020年3月1日)で「規制基準に適合するかどうかを判断するのに重要なデータで、言語道断の行為だ。原発事業者としての資質を疑う」と書くなど、原電を批判してきた。

   日経新聞は今回の問題の一般記事でも原電に対し「安全性への意識や社内のガバナンスが欠如していた」などと指摘する。ただ、「原発を安全に運転できることを事業者側が示せなければ、原発の活用を前提とする国の脱炭素目標の達成にも疑問符がつきかねない」(23年4月6日2面)と、原発政策へのマイナスを心配する書きぶりが目立つ。

   さらに、原発推進の立場から、資料の不備を問題視している規制委にむしろ矛先を向けるという特異な論を展開するのが産経新聞だ。

   4月11日の「主張」(社説に相当)は「原電は資料の正確性向上に努めるべきだ」としつつ、「規制委の審査は、一方で当該断層の活動性の有無という最重要部分から遠ざかり続けている。......安全とは関係の薄い誤字までを誤りに含め、その数の多さを理由に審査の門戸を閉ざそうとするなら、さらに不適切だろう」などと批判する。

   産経は結論として、「規制委は事業者との上下関係を廃し、日本原電と対等の立場で科学論議を進めるべきだ」と、原電が、規制委のお上意識の被害者のように描く。ちなみに、産経は沖縄県・辺野古の米軍基地建設などについて、県と国が「対等の立場で科学論議を進めるべきだ」などとは、決して書かない。

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