民間企業から大学への研究資金...共同研究1件当たり&研究者1人当たり換算では「東大」が1位ではなかった(鷲尾香一)

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外国企業との共同研究...1位「東大」でもわずか31件

   民間企業との共同研究は何も、国内企業とだけ行われているわけではない。

   そこで外国企業との共同研究の状況を見ると、1位の東京大学でも31件にとどまっている。9位の筑波大学、東京医科歯科大学、神戸大学までが10件と2ケタ件数だが、それ以下は1ケタとなる。(表3)

   上位20位までには22校が入っているが、このうち国立大学が16校、私立大学が6校となっており、国立大学の比率が高い。1位の東京大学は民間企業との共同研究実施件数が1945件だったので、外国企業との共同研究件数の31件はわずか1.6%でしかない。外国企業との共同研究がいかにすくないかがわかる。

   外国企業との共同研究費受入額は、東京大学が6億2097万円で1位、東北大学が4億9095万円で2位となっている。1億円以上の受入額となっているのは、7位の九州大学の1億1586万円までだ。上位20校中16校が国立大学となっており、私立大学は4校にとどまる。(表4)

   1位の東京大学の例で見ると、民間企業との共同研究費受入額は150億8626万円に対して、外国企業との共同研究費受入額6億2097万円は4.1%にとどまる。

   しかし、共同研究1件当たりの研究費受入額が776万円なのに対して、外国企業のケースでは1件当たりは約2003万円と国内企業を大きく上まわっている。

   民間企業との共同研究の件数や研究資金の受入額などでは東京大学が1位を独占していたが、共同研究1件当たりや研究者1人当たりの研究費受入額では、東京大学以外の大学が1位となった。

   では、研究はどの程度成果をあげ、利益をもたらしているのか。次回は特許権件数や特許権収入などについて取り上げる。【第3回につづく】

◆鷲尾香一とさぐる混沌日本の歩き方~「日本の大学」シリーズ
【1】民間企業からの研究資金、どの大学が多く受けているか? トップの大学は167億円(鷲尾香一)
【2】民間企業から大学への研究資金...共同研究1件当たり&研究者1人当たり換算では「東大」が1位ではなかった(鷲尾香一)
【3】大学での研究成果はどれくらい「収入」に結びつくのか? 特許件数、特許権収入、知的財産権収入が多い大学ランキング(鷲尾香一)
【4】「働き方」に不安抱える大学の研究者...契約状況は「無期」と「有期」、どちらが多いのか?(鷲尾香一)

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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