銀行の長年の過剰なリスクテイク姿勢が打撃を受けている
さて、今後の米国金融システムはどうなるのか――。「金融危機の不安は続く」と指摘するのは、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。
木内氏はリポート「大きな混乱は回避も、銀行システムの脆弱さを再確認させたファースト・リパブリックバンク破綻とJPモルガンによる買収:預金保険制度改革議論も加速」(5月2日付)のなかで、こう述べている。
「ファースト・リパブリックバンクの破綻処理は、混乱もなく秩序だって進められた。ただし、3月以降実施されてきた同行への支援策は実を結ばず、結局、破綻を回避することはできなかったのである。
このことは、長く続いた低金利下での銀行の過剰な(あえてリスクを引き受けて、利益などのリターンを期待する)リスクテイクの問題と、それに続く金利急騰が銀行システムに与えた打撃の大きさを浮き彫りにした。そして、米国の銀行不安がなお続いていることを印象付けたのである」
とりあえず、5月2日、3日のFOMC(米連邦公開市場委員会)でFRBが追加利上げに踏み切るのか。また、パウエルFRB議長が銀行破綻の今後の見通しや、金融機関の規制の見直しに関して、どんなメッセージを発するかが注目される。(福田和郎)