預金が流出している銀行がまだまだたくさん!
同欄で、みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は、
「米政策当局はいわゆる『金月処理』で、この件を米国市場の週明けの売買が始まるよりも前に決着させた。来年に大統領選・議会選を控え、税金負担を伴う公的関与に当局が慎重姿勢をとるなか、問題処理を民間大手銀行の力に頼ることになってしまっているから」
と、大統領選が背景にあると指摘。
「今回はなんとかしのいだが、また一定規模以上の金融機関の問題が起こらない保証はどこにもない。そもそも論を言うと、金融不安にはFRBの急速な利上げが招いている面がある。市場の織り込み通りに3日の会合(FOMC=米連邦公開市場委員会)で追加利上げをするのだろうが、それで打ち止めになる可能性がますます高くなったとみている」
こちらもFRBの責任に言及した。
また、同欄で、日本経済新聞社上級論説委員/編集委員の菅野幹雄記者は、
「JPモルガンをはじめ米銀大手11行が300億ドルもの預金を異例の『奉加帳方式』で託した信用補完策も全く歯が立たず、米史上2位の大きさとなったFRCの破綻があっけなく決まりました。
むろん、破綻と同時にJPモルガンの救済買収が成立して、週明けの混乱はなんとか避けられたわけですが、ひとつひとつの手がいかにも付け焼き刃であり、預金者や市場の反応の速さに金融当局が手を焼いている様子をみせつけています」
と、金融当局の対応が後手に回っていると批判。つづけて、
「『金融システムは盤石』という世界の金融担当相や中央銀行トップの言葉がどこまで信じられるのか。突っ込みどころが満載です。第4、第5の米銀破綻が浮上するようなら、警戒モードが一気に高まることになります」
と、今後も不透明だとした。
さらに、同欄で、日本経済新聞社特任編集委員の滝田洋一記者も、金融危機は収まっていないと強調した。
「JPモルガンがFRC買収に乗り出したことで、金融不安は一段落といいたい気持ちは分かりますが、思い出してください。SVB破綻後、JPモルガンが音頭を取った、FRC向けの資金繰り支援です。結果は大失敗。1~3月の3か月で預金の4割が流出したFRCを、単なる資金繰り支援で救済できるはずなどなかったのです」
そして、預金が流出している銀行の名前を次々とあげた。
「FRCの惨状に目を奪われがちですが、同期間にウエスト・アライアンスからは11.3%、コメリカからは9.4%の預金が流出しました。以下、シチズンズから4.7%、USバンコープから3.7%、ザイオンズから3.4%の流出と続きます。FRCを『金月処理』した背景には、危うい現状が横たわっています」