令和生まれの企業は全国で52万社! 東京、大阪、神奈川、愛知だけで約半数

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   新型コロナ禍では個人事業主や小規模事業主にとって大変な苦境であったことは想像に難くないが、「令和」生まれの企業はこの経済の停滞をどうやって乗り越えたのかだろう?

   東京商工リサーチが2023年4月27日に発表した「令和」設立企業動向調査では、令和元年から4年間で52万社ほどの企業が誕生し、サービス業が4割を占めている実態が明らかになった。

   令和に誕生した企業の倒産動向では、累計数は586件で、令和4年度の倒産数は前年度2倍以上の390件だった。同社では「『令和』設立の若い企業のイノベーションに大きな期待がかかる一方で、生き残りをかけた正念場はこれからが本番を迎える」という。

  • 令和元年からの4年間で約52万社が誕生(写真はイメージです)
    令和元年からの4年間で約52万社が誕生(写真はイメージです)
  • 令和元年からの4年間で約52万社が誕生(写真はイメージです)

令和企業の多い商号「link」178社 ヒト・モノ・サービスを「つなぐ」商号多く

   この調査は令和1年(2019年)5月以降に設立された法人を「令和」創立企業として抽出し、分析。「令和」設立企業の倒産については令和5年3月までの全国企業倒産(負債1000万円以上)から抽出した。

(東京商工リサーチの作成)
(東京商工リサーチの作成)

   はじめの調査では、「令和」設立企業の企業数と起業業界を調べた。令和の4年間でこれまでに52万8528社が設立され、産業別ではサービス業が最多の22万1125社(構成比41.8%)となった。

   次いで、建設業の6万139社(同11.3%)、不動産業の5万3291社(同10.0%)、情報通信業の5万1164社(同9.6%)と続いていく。

   サービス業が4割を占めているが、業種別でみると社数トップは学術研究、専門・技術サービス業の7万5983社。このほか、医療福祉事業や飲食業など比較的参入障壁が低いサービス業が業種別の上位に並んでいる。

   経営者が相応の経験を積んで起業する「独立型」が多く、起業時に小資本でスタートしやすい業種が多い点が特徴となった。

   また、「令和」設立の上場企業は42社だった。ただし、いずれも持株会社や経営統合などに伴って新設された企業が中心で、「令和」以降に事業をスタートさせて株式上場を果たした企業はなかった。

(東京商工リサーチの作成)
(東京商工リサーチの作成)

   続いての調査では、商号について調べた。

   「令和」設立企業の商号のランキングでは、1位は「link」が最多の178社となった。2位は僅差で「アシスト」が175社、以下、「NEXT」と「Rise」が同数の142社、「ミライ」が139社のようだ。

   同社の分析では、

「最多の『link』のほか、『コネクト』(9位、122社)、『縁』(16位、111社)、『Connect』(17位、104社)、『絆』(23位、100社)など、人やモノ、サービスなどの繋がりを連想させる商号が目立つ。上位30の商号のうち、カタカナ表記が14社、アルファベット表記が12社と拮抗し、漢字表記が3社でひらがな表記は1社だった。また、『令和』を商号とした企業は68社で、49位だった」

   としている。

都道府県別の「令和」設立企業数 最多は「東京」 最少は「鳥取」

(東京商工リサーチの作成)
(東京商工リサーチの作成)

   都道府県別の起業数も調査した。それによると、最多となったのは東京都の15万8925社(構成比30.0%)で群を抜いて多い。次いで、大阪府の5万1386社(同9.7%)、神奈川県の3万4023社(同6.4%)、愛知県の2万6985社(同5.1%)、埼玉県の2万4059社(同4.5%)、福岡県の2万2776社(同4.3%)と続いていく。大都市圏が上位に並び、1万社以上の設立は10都道府県にのぼる。

   一方で、最も少なかったのは鳥取県の1258社(同0.23%)。次いで、島根県の1336社(同0.25%)、高知県の1576社(同0.29%)、秋田県の1646社(同0.3%)などが続いた。

「令和」企業の倒産は、令和4年度が最多 サービス、建設、小売りなど...新規事業軌道に乗らず

(東京商工リサーチの作成)
(東京商工リサーチの作成)

   一方、「令和」設立企業の倒産数について調査した。第一号が発生したのは2020年3月となり、2023年3月までに月間1件以上が発生。月を追うごとに増加している傾向だった。また、年度別(4月から3月まで)では令和2年度が38件、令和3年度は前年度の4倍以上の157件、さらに令和4年度は前年度の2倍以上の390件と高い水準で推移している。

   同社では推移について

「特に、令和4年度は9月以降、月間30件を上回り、3月はこれまで最多の48件が発生した。この結果、令和4年度の『令和』設立企業の倒産は、倒産全体(6,880件)の5.6%を占めた」

   としている。

(東京商工リサーチの作成)
(東京商工リサーチの作成)

   つぎに倒産した企業の産業別の割合を見てみると、サービス業他が288件(構成比49.1%)で約半数を占めた。次いで、建設業の81件(同13.8%)、小売業の65件(同11.0%)、情報通信業の45件(同7.6%)と続く。

   サービス業他の業種別では、最多は飲食業の54件。開業のタイミングとコロナ禍が重なり、厳しい経営環境が続いたほか、テイクアウト業態に参入したが軌道に乗らなかった企業などもあったという。

(東京商工リサーチの作成)
(東京商工リサーチの作成)

   倒産した企業の原因を見てみると、最多が「販売不振」の304件(構成比51.8%)で、次いで、事業場の失敗などが中心の「放漫経営」が161件(同27.4%)で3割ほど。このほか、「他社倒産の余波」が56件(同9.5%)、「過小資本」が31件(同5.2%)、代表者の病気や死亡を含む「その他」が17件(同2.9%)となった。

   同社は

「『放漫経営』が占める構成比が高いのが特徴で、このうち、大半が事業上の失敗に起因している。事業計画や資金計画の見込みの甘さから事業が軌道に乗らなかったり、そもそも本格稼働にこぎ着けることができず、設立からわずかな期間で破たんに追い込まれるケースも少なくない」

   と指摘している。

   最後に、調査の総括として、同社では次のようにコメントしている。

「元号が『令和』となって以降の4年間で、約53万社の企業が設立された。この4年間のうち、約3年はコロナ禍の影響下にあった。社会生活が制限され、企業を取り巻く事業環境が変わるなか、多くの企業がビジネスモデルの見直しや事業の再構築を余儀なくされ、その影響は今も尾を引いている。
こうした混沌の時代に誕生した『令和』設立企業は、コロナ禍とは不可分の関係になっている。『令和』設立企業のうち、586件が倒産したが、このうちコロナ禍が要因となった『新型コロナウイルス関連倒産』は192件で、3割超(32.7%)を占める」
「一方でこの間、政策支援などにより倒産は歴史的な低水準に抑制された。緊急避難的なゼロ・ゼロ融資や補助金、助成金などコロナ禍の手厚い支援を得て危機を回避した企業は多い。今後、本格的なアフターコロナの時期に入り、コロナ融資の返済や新たな資金需要など、企業には数多くの課題への対応が必要になっている。また、物価高や人手不足などのコストアップの問題も浮上している。
『令和』設立の若い企業のイノベーションに大きな期待がかかる一方で、生き残りをかけた正念場はこれからが本番を迎える」
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