増加する1000万円以上の「大型共同研究」...トップは「東大」260件 100件超えは上位4校のみ
民間企業との共同研究では、近年、共同研究受入額が1000万円以上の大型共同研究が増加の一途をたどっている。 2013年度に600件だった大型共同研究は、2017年度には1000件を超え、2021年度には1599件と2013年度の2倍以上となっている。(グラフ1)
大型の共同研究は件数では全体に占める割合が小さく、実施件数の約5.4%程度でしかない。
だが、1件当たりの研究費受入額の平均が296万円に対して、1000万円以上受入額である大型共同研究は、研究費受入額みると約56.5%と全体の半分以上を占め、大学における共同研究の受入額への影響が大きい。
民間企業との大型共同研究の実施件数は、東京大学が260件でトップ。100件を超えているのは、4位の京都大学の124件までとなっている。大型共同研究は上位4校に集中しており、15位の東京医科歯科大学以下では20件以下に減少する。
こうした状況の中で、慶應義塾大学は5位で75件となっており、私立大学で唯一20位以内に入っており、検討が目立つ。(表4)
大型共同研究費の受入額では、東京大学が121億2466万円と唯一100億円を超えている。10億円を超えているのは10位の北海道大学の10億1634万円までとなっている。私立大学では、5位に20億4533万円で慶應義塾大学が、7位に17億9242万円で入っている。(表5)
民間企業との共同研究の件数や研究資金の受入額など、今回取り上げたすべての項目では、東京大学が1位となっている。
だが、次回に取り上げる共同研究の1件あたりの研究費受入額や、研究者1人当たりの研究費受入額では、まったく違った意外な大学が浮上する。【第2回につづく】
◆鷲尾香一とさぐる混沌日本の歩き方~「日本の大学」シリーズ
【1】民間企業からの研究資金、どの大学が多く受けているか? トップの大学は167億円(鷲尾香一)
【2】民間企業から大学への研究資金...共同研究1件当たり&研究者1人当たり換算では「東大」が1位ではなかった(鷲尾香一)
【3】大学での研究成果はどれくらい「収入」に結びつくのか? 特許件数、特許権収入、知的財産権収入が多い大学ランキング(鷲尾香一)
【4】「働き方」に不安抱える大学の研究者...契約状況は「無期」と「有期」、どちらが多いのか?(鷲尾香一)