原材料の高騰を販売価格にうまく転嫁できるか
山崎製パンの株価は、2018年6月に一時3000円を突破しましたが、その後は下降傾向が続き、最近は1500~1600円あたりで推移しています。
山崎製パンの事業リスクで気になる点は「原材料の調達および価格高騰」です。輸入小麦、砂糖、油脂、卵や包装資材などの仕入価格が高騰しており、これを販売価格に転嫁できなかったり、調達が難しくなったりした場合には、業績に影響を及ぼすおそれがあります。
実際、2022年12月期の粗利率は、前期の34.5%から31.9%へ2.6ポイントも悪化しました。そこで販管費を前期比で約8%削減して営業利益率の改善につなげましたが、コストダウンにも限界があるでしょう。
最近では、2023年1月1日出荷分より「薄皮シリーズ」の内容量を5個から4個に減らし、「ランチパック」3品の価格を平均4.7%値上げして話題になりました。
売上高1兆円で営業利益率2%前後という薄利多売ビジネスということもあり、今後も適正な価格改定を続ける必要があります。しかしその一方で、消費者の離反を招くおそれもあり、新しい低価格商品の開発を含めた巧みな判断を迫られそうです。(こたつ経営研究所)