ゴールデンウィーク真っ盛り。ドライブインでの休憩中、寝てしまった我が子をクルマの中に残すことはないだろうか。
それ、熱中症の恐れがあり、ものすごく危険です!
2023年4月28日、JAF(一般社団法人日本自動車連盟)は「約55%が子どもを車内に残してクルマから離れたことがある!?ゴールデンウィーク、クルマでお出かけの際にはご注意を!」というリポートを発表、絶対に子どもを残してクルマから離れないよう注意を呼び掛けている。
5月は体が「暑熱順化」していないため、体温が急上昇
JAFの調査は、2022年12月13日~2023年1月12日までの1か月、家族に12歳以下の子どもがいるドライバー246人を対象に、「時間の長さに関わらず、少しの時間であっても子どもを車内に残したまま車を離れたことがあるか」や、「車内に子どもを置いて車を離れることで『熱中症』事故が起きることに関する知識」などを聞いたものだ。
その結果、54.9%の人が「子どもを車内に残したまま車を離れたことがある」と答えた。最も多かった理由は「用事(買い物や兄弟の送迎など)を終えてすぐに(5分以内)車に戻ることができるため」(54.8%)だった。次いで「子どもが寝てしまい、起こさないため」(19.3%)、「子どもの希望(降りるのを嫌がるなど)」(12.6%)、「子どもがゲームやDVDを見ていたため」(4.4%)と続いた。
「寝ている子どもを起こしたくないし、少しの間だからいいだろう」と油断する人が非常に多いのだ。しかし、JAFによると、自動車内の子どもの熱中症事故は真夏に起こるものと思われがちだが、過ごしやすい春や初夏であっても発生するケースが少なくない。
それは、体が暑さに慣れていないと、熱中症になる危険性が高まるからだ【イラスト】。体は真夏に向けて次第に暑さに慣れていく。暑くなると、皮膚の血液量が増えて、どんどん汗をあくようになる。気化熱や体の表面から熱を逃がしやすくなり、暑さに強くなる。これを「暑熱順化」(しょねつじゅんか)と呼ぶ。
一方、春や初夏はまだ「暑熱順化」ができていない状態だから、汗をかくことが少なく、熱が体内にこもって、すぐに体温が上昇し、熱中症になるリスクが高いのだ。
実験結果、軽より大型SUVのほうが室温があがる理由
また、JAFは、5月頃の外気温が23.3度~24.4度の過ごしやすい日中でも、エアコンを止めると車内温度がどれだけ高くなるか、動画「ユーザーテスト・5月ならまだ大丈夫?社内での熱中症の危険」を公開した。実験したのは大型SUVと軽ワゴン。駐車場に南向きに並んで停車。室内25度からスタート。大型SUVのほうが、室内が広いので中の温度は上がりにくそうだが......。
結果は、10分後=大型SUV(33.6度)、軽ワゴン(32.0度)。20分後=大型SUV(37.7度)、軽ワゴン(34.4度)。30分後=大型SUV(39.9度)、軽ワゴン(35.5度)......。そして1時間後=大型SUV(43.5度)、軽ワゴン(37.5度)。なんと、大型SUVのほうが6度も高くなった【写真】。
JAFによると、室温の上昇には、室内の広さではなく、太陽光を受けるフロントガラスの広さと角度が影響しているという。密閉された車内は、短時間で思いがけないほど高温になるのだ。JAFでは、こう警告している。
「少しくらいだから、ぐっすり寝ているから、という子どものためを思った行動は、逆に危険にさらしかねません。油断せず、お子さんを残してクルマから離れることは絶対にやめましょう」
(福田和郎)