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コロナ5類移行でどうする? 現役ビジネスパーソンに聞いた! アフターコロナの働き方

   マスクの着用が個人の判断へと見直され、2023年5月8日からは新型コロナウイルス感染症の位置づけが季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行される。

   すでに、会社によっては新入社員の歓迎会や集合研修などが開かれるなど、職場の雰囲気もコロナ禍前に戻りつつあるが、5類への移行後は行動制限などの措置がさらに緩められ、人々の働き方にもさまざまな変化が予想される。

   そうしたなか、総合転職エージェントのワークポート(東京都品川区)が全国のビジネスパーソン408人(20代~40代、男女)を対象に、「コロナ5類移行」による働き方の変化を調査した。3月28日の発表。

リモートワーク、フリーアドレス...フレキシブルな働き方広がる

   調査では、まず現在の勤務先(または直近の勤務先)で、「コロナ禍の感染拡大によって職場のルールや制度、自身の働き方が変化したか」(n=408)との問いに、「はい(変化した)」と答えた人は67.2%と7割近くにのぼった。「いいえ(変化していない)」は32.8%だった。

   具体的に「どんな変化があったか」を聞いたところ、

「フルリモートワークの導入とオフィスの縮小」(30代男性、クリエイター)
「パーテーションの設置、会食・宴会禁止、集会・懇親会・大会中止」(20代男性、事務)
「マスク着用、37度以上の発熱で出勤停止、発熱後は平熱2日以上を継続確認して出勤許可」(40代男性、接客販売)
「テレワーク、カフェなどでの作業許可、時差出勤」(30代男性、クリエイター)
「フリーアドレス化、会議がリモート」(20代男性、システムエンジニア)
「時差出勤の導入」(40代男性、コンサルタント)

   など、在宅勤務やマスク着用が浸透したとする意見が多かった。そのほか、リモートワークやフリーアドレス化といったフレキシブルな職場環境や働き方が広がったことがわかった。

   コロナ禍で「職場環境や働き方に変化があった」と答えた人(n=276)に、「コロナが5類に移行することで、さらに職場の制度やルール、働き方は変化したか」と聞いたところ、37.2%の人が「変化した(これから変化する予定)」と答えた。「変化しない」は62.8%だった。

   具体的には、

「対面セミナーの再開」(30代女性、事務)
「マスク着用が個人の判断になった。毎朝の検温は継続するものの、申告の義務がなくなった」(30代男性、営業)
「出社回数を増やされる、通勤定期券の再開、リモート手当金の廃止」(30代女性、管理)

   といった声のほか、

「客先訪問の再開、会食の再開」(40代男性、企画マーケティング)
「在宅勤務から出社への切り替え」(30代女性、クリエイター)

   など、対面での働き方が再開したとの意見が多くあった。その一方で、「5類移行後も変わらない点があるか」と聞いたところ、

「リモートが基本的なスタンスであること」(30代男性、企画マーケティング)
「マスク着用自由化とはいえ、基本は着用」(30代男性、接客販売)
「書類や手続きのデジタル化」(30代男性、クリエイター)
「フレックス出勤、リモート継続」(40代男性、機械系エンジニア)

   といった意見があがった。

非対面型の働き方を経験したからこそ、対面の大切さを実感

   また、新型コロナウイルス感染症が5類に移行することで「職場環境や働き方がさらに変化した」と答えた人(n=102)に、「その変化をどう感じているか」聞いたところ、「良い」と答えた人は18.6%、「どちらかといえば良い」が44.1%で、合わせて62.7%が「良い」と答えていた。過半数が5類移行による変化を前向きに捉えているようだ。

   「どちらかといえば、悪い」と答えた人は26.5%、「悪い」は10.8%だった。

   5類への移行による変化を「良い」と感じる理由では、

「対面で話せる良さがあるため」(20代女性、事務)
「コミュニケーションがとりやすくなるため」(40代男性、コンサルタント)
「対面でのコミュニケーションのほうが、心の距離を縮めやすいから」(30代男性、運輸交通)
「直接顔を会わせて話をするということは意外と必要なことだと感じたため」(30代男性、製造)
「仕事がスムーズに進むようになったため」(40代男性、教育研究)

   など、対面でのコミュニケーションを重要視する意見が多くあった。

   ワークポートは、

「非対面型の働き方を経験したからこそ、対面の大切さを実感するような声も散見され、コロナ禍をきっかけに働くうえでの価値観の変化や再認識につながったケースも少なくなさそうです」

   とみている。

   次に、「コロナ禍は自身の転職やキャリア形成に影響を与えていると感じるか」との問い(n=408)に、「良い影響を与えた」と答えた人は24.0%、「悪い影響を与えた」とする人は26.2%だった。合わせて50.2%の人が、コロナ禍で良くも悪くも「キャリアへの影響を受けた」と感じていることがわかった。「特に影響はない」は49.8%だった。

   「具体的にどんな影響があったか」を聞いたところ、「良い影響」と回答した人からは、

「リモート勤務が増加したことにより、プライベートな時間が増えた」(30代男性、管理)
「キャリアについて見直す時間ができた」(40代男性、営業)
「自分のやりたいことや目標が明確になった」(40代女性、管理)
「地元へ戻って仕事をしようと決意できた」(20代女性、事務)
「子育てと仕事が両立しやすい環境となった」(30代男性、企画マーケティング)

   など、自分のために使える時間やキャリアと向き合うきっかけができたとの意見が多くあがった。

   一方で、「悪い影響」と回答した人からは、

「転職活動がしづらくなった」(30代女性、事務)
「会社の業績悪化によって転職を余儀なくされた」(40代男性、営業)
「将来を見据えたキャリア形成に歯止めがかかった感じがする」(40代女性、管理)
「業務内容が減った(役員の来客、外出)ため、スキルが身につく機会が減った」(20代女性、秘書)
「海外の良いキャリアをギブアップして家族を選ぶしかなかった」(40代男性、機械系エンジニア)

   などの退職を余儀なくされたり長期就業の機会を逸したり、転職活動が困難になったという声が多く寄せられた。

「コロナ5類移行」変化を不安視する声はさほど多くなく...

   調査では、新型コロナウイルス感染症の5類への移行を「どう感じているか」(n=408)聞いたところ、「不安はない(妥当だと思う)」と答えた人が48.8%と約半数を占めた。また、「不安がある」と答えた人は22.8%と、全体の2割程度にとどまった。「どちらともいえない」も28.4%あった。【下図参照】

コロナ5類移行について、「不安はない(妥当だと思う)」という人は48.8%にのぼる(ワークポート調べ)
コロナ5類移行について、「不安はない(妥当だと思う)」という人は48.8%にのぼる(ワークポート調べ)

   「不安を感じる」と答えた人からは、

「自身や親しい人の感染リスク」(30代女性、公務員)
「一度コロナに感染して後遺症に苦しんでいるので、再度の感染が怖い」(30代男性、企画マーケティング)
「必要な場でも感染予防対策が怠られた結果、再度感染拡大すること」(40代女性、事務)
「医療体制や感染した場合の休暇制度や保障が手薄になる懸念。医療費高騰・感染リスク増大」(20代男性、事務)
「特効薬がいまだに流通していないこと」(40代女性、事務)
「楽観的な意見が先行し、保守派との意識格差による亀裂や影響がでないか不安がある」(30代男性、クリエイター)

   など、自身が感染するリスクや社会における感染再拡大を危惧する声があった。

   ワークポートは、

「コロナ禍が社会にもたらした変化は大きく、また5類への移行でさらに働き方が変化する人も一定数いることがわかりました。しかしその新たな変化を不安視する声はさほど多くはなく、働き手の大半がこの激動の時代に適応し、変化を前向きに捉えているようすもうかがえました」

   としている。

   なお、調査は同社を利用している全国の20代~40代のビジネスパーソン(男女)を対象に、2023年3月13日~20日にインターネットで実施。有効回答者数は、408人。