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女性管理職に抜擢されたら、すぐに読みたい一冊!【尾藤克之のオススメ】

   グローバル化が進み、世界的に女性管理職が増えてきています。とりわけSDGsに向けた取り組みの一つとしても、女性活躍は重要なテーマです。従来、女性管理職が少なかった日本においても、人的資本経営が主張されるようになり、喫緊の課題とされています。

『女性管理職が悩んだ時に読む本』(いくみ著)日本能率協会マネジメントセンター

突然、異動を言い渡されたら?

   会社員には異動がつきもので、管理職はポジションのやり繰り事情が伴うため、突然言い渡されることも多いと、著者のいくみさんは言います。どのような心構えが必要でしょうか?

「今の勤務先で18年管理職をやっている私ですが、経営陣ではありませんので、『管理職の配置』については、受け身の立場。直属の上司から『いくみさん、次ここお願いします』と言われたことが、これまでに4回くらいありました。おそらくその上司のまたその上司の色々な意向があってのことでしょう」(いくみさん)
「頭では理解しているつもりでも、実際に突然『あっちいけこっちいけ』された側からすればたまりません。異動というのは業務指示ですから『嫌です』というわけにもいかず。私の場合は1つの事業を10年以上担当させてもらってから、その後に立て続けに異動が発生したので、最初の異動についてはなかなか心がついていけませんでした」(同)

   当時の上司からは「いくみさんの成長のためにも、新しいチャレンジをどうぞ」みたいな台詞があったそうです。いくみさんは次のように言います。

「ふん! 何言ってんのよ? 余計なお世話だわ。長年情熱を注いできたかけがえのない事業や愛する部下さんたちから離れなければならないことは、悔しい気持ちでいっぱいでした。しかし、今思い返してみると、ずっと同じところにいて快適なままではきっと私はそれ以上に物事を吸収することができなかっただろうと思います」(いくみさん)
「上司が『成長のために』と言っていたことはリップサービスかもしれませんが、やってみたら、実際、新たな気付きがあった。ご指示のおかげです、と心の中で上司に返しておきました。ちなみに、逆の立場で部下さんに異動を言い渡す時には、その経緯やら背景やら上司の本音やら包み隠さず伝えることを怠らないようにと心掛けています」(同)

   社内で上手く立ち回るのはスキル。会社には多かれ少なかれ理不尽な出来事が蔓延しているものかもしれません。自分に不利な人事が回らないように備えなければなりません。

社内の有事に備えるには?

   社内の有事に備えるにはどうしたらいいのでしょうか? 私は社内の決裁権限者を抑えることだと考えています。決済権限者は、社内人事の全権を掌握しています。そのため、ある意味では、自分へのパスを良いものにするには抑えておくべき人脈です。

   日本型システムでは、全ての人事権は人事部が掌握しています。現場に権限が付与されることもありますが、最終権限は人事部にあります。人事権を握っているから影響力を発揮することができるのです。人事権を強固にすることは、大きな力を持つことに他ならないのです。

   管理職と平社員の決定的な違いは、人事権にあります。平社員がどんなに権利を主張しても通ることはありません。上司ににらまれれば、それだけで会社に居づらくなるものです。ところが、平社員でもある状況下では、自分の評価を高めることができます。

   それは人事権を所持する決裁権限者との接触頻度を高めることです。たとえば、名前を覚えてもらうこと。最初は挨拶だけだったとしても、少しずつ会話の量を増やしていけば、プライベートの話をするようになります。プライベートの話をするようになると、仕事の話をする以上に親密感が増します。

   親しくなれば社内で大きな抑止力となるでしょう。目の前に大嫌いな上司がいたら、その上司が苦手としている人と親しくなればいいのです。つちかったコンフォートゾーンから出て、社内政治力を高めていきましょう。(尾藤克之)