シリコンバレー銀行「破たんのスピードは衝撃的」
SVBは預金引き出しに対応するため、価格が下がったMBSを売却せざるを得なくなった。そのうえ、金利上昇リスクをヘッジ(回避)していなかったため、損失を補填するための増資計画。3月8日に発表したが、これがかえって信用不安を招き、株価が急落した。
結局、増資も中止となり、経営破たんに追い込まれたとされる。(3月10日付ブルームバーグ、同11日付CNN)。
こうしたことから、米金融当局は「突然死」のようなSVBの経営破たんを、「個社要因によるところが大きかった」と断じたわけだ。
SVBの経営破たんのきっかけとなったのは、預金の流出。つまり「取り付け騒ぎ」だ。それは、かつて日本でも起こった。
1997年秋、日本では北海道拓殖銀行(現北洋銀行)や山一證券が経営破たん。それ以降、日本長期信用銀行(現SBI新生銀行)や日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)といった大手銀行や、多くの地域銀行や信用金庫・信用組合までが相次いで破たん。金融危機の時代に突入した。
当時、体力のない預金規模の小さな金融機関では「経営危機」のウワサをきっかけに預金が流出するケースが少なからず発生した。
金融当局は「預金者保護」のため、預金の全額保護を打ち出し、アナウンスした(1996年~2002年3月末までの特例措置)。それにより、表面上、取り付け騒ぎは下火になったものの、体力が脆弱な規模の小さな金融機関の預金はジワジワと時間をかけ、「静か」に取り崩されていった。
今回、SVBの経営破たんでは、かつての日本と同じことが起こったわけだ。
だが、大きく違ったのは、その「スピード感」と「目に見えない」取り付け騒ぎが起こったことだ。3月13日付のアメリカンバンカー紙は、「先週、シリコンバレー銀行の破たんのスピードが衝撃的だった」と報じていた。