求職者に聞いた期待する「健康経営」施策 1位はやっぱり「定期健診」、2位はまだ「感染症予防」 男女で大きく違う「働く意識」も鮮明

   コロナ禍の行動制限が緩和され、人々の生活が「アフターコロナ」に向けて動き出している――。

   そんななか、総合人材情報サービスを展開するアイデム(新宿区新宿区)は、2023年3月に総合求人サイト「イーアイデム」を通じて求人に応募した人(会員)を対象に、「勤務先にあると安心につながる健康に関する取り組み」(複数回答)を聞いたところ、「定期健診の実施」と答えた人が48.9%と最も多かった。2023年4月19日の発表

   次いで、「感染症予防に関する取り組み」が33.6%、「ストレスチェックの実施」25.7%と続いた。

非正規雇用を希望する人は「感染症予防に関する取り組み」を重視

図1 正社員を希望する人は長期間働くことができるかどうかにつながる項目が目立った(イーアイデム調べ)
図1 正社員を希望する人は長期間働くことができるかどうかにつながる項目が目立った(イーアイデム調べ)

   調査によると、求人に応募した人に、「勤務先にあると安心につながる健康に関する取り組み」(複数回答)を聞いたところ、全体では「定期健診の実施」と答えた人が48.9%と最多。

   次いで、「感染症予防に関する取り組み」が33.6%、「ストレスチェックの実施」が25.7%で、何らかの制度があることで「安心につながる」と答えた人は約9割にのぼった。

   希望する雇用形態別にみると、「正社員」を希望する人では「定期健診の実施」が59.5%(非正規雇用は45.9%)や「『働きすぎ』を防止する企業方針の策定、実施」の37.8%(同19.7%)、「長時間労働者への対応(ケア)」の31.1%(同18.6%)や「病気の治療と仕事の両立・復職支援」の31.1%(同16.5%)などが、非正規雇用を希望する人たちよりも安心につながると回答した。

   正社員を希望する人は、長期間働くことができるかどうかにつながる項目が目立った。

   また、パート・アルバイト、契約社員または嘱託社員、派遣社員(非正規雇用を希望する人)の合計でみると、「感染症予防に関する取り組み」が34.4%(正社員は29.7%)。

   あるいは、「食事に関する補助、あるいは食生活に関する取り組み」の14.7%(同8.1%)などの項目で正社員の希望者を上回り、こうした制度があると安心につながることがわかった。【図1参照】

コロナ禍の影響で、仕事を探している人はが下降傾向

   求人に応募した人に、「今回仕事を探している理由に『新型コロナウイルス感染症の影響』は関連しているか」聞いたところ、「コロナ禍の影響で仕事を探している人」(「はい」と回答した人)は23.8%と、全体の4分の1程度となった。「いいえ」は76.2%だった。

   希望雇用形態別に影響の有無をみると、「正社員」では29.7%が「影響している」と答え、非正規雇用の希望者よりも高かった。ただ、どの雇用形態でも3割を超えることはなかった。【図2参照】

図2 「コロナ禍の影響で仕事を探している人」は4分の1程度だった(イーアイデム調べ)
図2 「コロナ禍の影響で仕事を探している人」は4分の1程度だった(イーアイデム調べ)

   また、【図3】のように、「コロナ禍の影響で仕事を探している人」(「はい」と回答した人)は、2022年10月の29.3%をピークにじわじわと下降する傾向にある。

図3 新型コロナウイルス感染症の影響、ジワリ下降傾向(イーアイデム調べ)
図3 新型コロナウイルス感染症の影響、ジワリ下降傾向(イーアイデム調べ)

「将来にわたって安定して働きたい」と答えた人は67.6%

   また、求人に応募した正社員雇用を希望する人に、「なぜ、正社員を希望するのか」(複数回答)を聞いたところ、最も多かったのは「将来にわたって安定して働きたいから」で67.6%、次いで「社会保険に加入できるから」が45.9%、「他の雇用形態より収入が得られると思うから」が35.1%となった。

   「正社員を希望する理由」を男女別でみると、やや異なる傾向が見てとれる。

   「男性」のほうが「女性」よりも「自身のキャリア(仕事経験や意識・技術等)を維持・向上したいから」と答えた人(男性44.7%、女性19.4%)が25.3ポイント、「興味のある仕事が正社員での募集だったから」(男性34.2%、女性19.4%)が14.8ポイント、「他の雇用形態より社会的な信用度が高いと思うから」(男性31.6%、女性25.0%)が6.6ポイント高くなった。

   男性のほうがキャリアアップを意識している人が多いことがわかる。

   一方、「女性」のほうが「男性」よりも「他の雇用形態より収入が得られると思うから」と答えた人(女性44.4%、男性26.3%)が18.1ポイント、「将来にわたって安定して働きたいから」(女性75.0%、男性60.5%)が14.5ポイント、「社会保険に加入できるから」(女性52.8%、男性39.5%)が13.3ポイント高かった。

   安定や収入額を重視して仕事を探している人が、男性よりも多いようだ。また、長期間で勤め続けたい意向がうかがえる。【図4参照】

図4 男性のほうがキャリアアップ、女性は安定や収入を意識している人が多い(イーアイデム調べ)
図4 男性のほうがキャリアアップ、女性は安定や収入を意識している人が多い(イーアイデム調べ)

パート・アルバイト希望の女性26.7%「扶養の範囲内で働きたいから」...男女差が大きく

   また、求人に応募したパート・アルバイトを希望する人に、「なぜ、その雇用形態を希望するのか」(複数回答)聞くと、最も多かったのは「自分の都合のよい時間や曜日に働きたいから」で63.2%、次いで「生活との両立を図りたいから」が37.8%、「興味のある仕事がパートまたはアルバイトでの募集だったから」が26.4%となった。

   男女別でみると、「男性」のほうが「女性」よりも「興味のある仕事がパートまたはアルバイトでの募集だったから」と答えた人(男性32.9%、女性21.6)が11.3ポイント、「気楽に働きたいから」(男性31.8%、女性20.7%)が11.1ポイント、「正社員より採用されやすいと思うから」(男性14.1%、女性3.4%)が10.7ポイント高くなった。

   心身に負担の少ないかたちで、興味のある仕事を探している人が多いようだ。

   一方、「女性」のほうが「男性」よりも「扶養の範囲内で働きたいから」と答えた人(女性26.7%、男性4.7%)が22.0ポイント、「自分の都合のよい時間や曜日に働きたいから」(女性67.2%、男性57.6%)が9.6ポイント高くなった。

   扶養の範囲内での就労を望む声は特に男性との差が大きく、特徴になっている。【図5参照】

図5 扶養の範囲内で働きたい女性は26.7%(イーアイデム調べ)
図5 扶養の範囲内で働きたい女性は26.7%(イーアイデム調べ)

   調査・分析にあたったイーアイデムの担当者は、

「新型コロナウイルス感染症が仕事探しのきっかけになっている人は、少しずつ減少している傾向にあります。ただ、感染症に対する不安は根強く、引き続き予防を怠らないことが安心につながるようです」

とみている。

   なお、調査は総合求人サイト「イーアイデム」の会員で、2023年3月1日~31日の期間に求人に応募した人を対象に、インターネットで実施。調査期間は、3月2日~4月5日。有効回答数は、378人だった。

   回答者のプロフィールは、男性49.2%、女性50.8%。希望する雇用形態は、「正社員」が19.6%、「パート・アルバイト」53.2%、「契約社員または嘱託社員」7.9%、「派遣社員」12.7%、「その他」が6.6%。

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