手帳や文房具、タブレットなどガジェットに関心がある人は多いだろう。
本書「デジタルライフ・モノワーカー」(KADOKAWA)は、モノ選びで劇的に豊かになる仕事術を説いた本である。
著者はYouTubeの総再生回数2700万回超えのインフルエンサー。モノと出合い、働き方まで変わったという人だ。「モノ選びでもっと仕事を充実させたい」「最適な仕事環境を整えたい」という人におススメだ。
「デジタルライフ・モノワーカー」(高澤け-すけ著)KADOKAWA
著者の高澤け-すけさんは、1992年生まれ。上智大学理工学部卒。ベンチャー企業を経て、Yahoo!JAPANでデジタルマーケティングに従事。その傍ら、ブログでライフスタイルを発信。2018年に独立し、YouTubeでガジェットや旅情報などを発信し、登録者は16万人を超える。
タイトルの「デジタルライフ・モノワーカー」とは、「デジタルとモノを通して、理想的な生活を実現しながら働く人」という意味だ。
最高の相棒はApple製品
高澤さんは、「平凡な人生だからこそ、モノに人生を助けられ、またその知見を多くの人に役立ててもらえると思っています」と執筆の動機を書いている。
隅から隅まで考え抜いて選んだモノたちだからこそ、自分自身の最大のパフォーマンスを発揮できているという。
モノ選びの心構えとして、「好き」のハードルを下げる、値段を理由にしないことを挙げている。
選び方としては、体験が変わるモノ、最新のモノ、また「正解」以外のモノから選ぶことがポイントだ。
出会い方としては、自分と同じ感覚のインフルエンサーを探す、とにかく触れて探す、フィルターの外にアンテナを張ることも大切で、時には直感に身を委ねることもあるそうだ。
それでは、具体的にどんなモノを推奨しているのだろうか。
高澤さんは、自分のモチベーションを上げてくれる最高の相棒として「Apple製品」をまず挙げている。MacBookに感動してから約10年。今ではPCだけでなくスマートフォンやタブレットまでApple製品で揃えているという。
相互の連携が優れているのも特徴の1つ。「AirDrop」という写真や動画が一瞬でデバイス間を移動できる機能を評価している。
カメラは「Sony α7SIII」、マウスは「MX Ergo」
日本では多くの人がApple製品を使っているのも心強い。
日本におけるスマートフォンのシェアはiOS(iPhone)が7割近くを占める。高澤さんのようなインフルエンサーの場合、視聴者がiPhoneを使って映像を見ることが多いのであれば、作る画像もiPhoneに最適化した方がいいからだ。
データ管理には、大容量データを即座に転送できる「SanDisk SSD」を使っている。
SSDはハードディスク(HDD)と同様の記憶装置で、通常のHDDよりもコンパクトで軽く、持ち運びに優れているうえにデータの転送速度も速い。全体がシリコンで覆われており、耐衝撃性や電気絶縁性にも優れている。
カメラは昼でも夜でも最高画質の動画を生み出す「Sony α7SIII」だ。
一眼レフカメラで、これ以上の動画性能を持つものはないと確信している。圧倒的に暗いところへの耐性が強いのが特徴だ。画素数が一般的な一眼レフカメラの半分の1220万画素だが、画素数が少ないゆえに、暗いシーンでも明るさが確保できるのが強みだという。
マウスは、最強効率化を実現する「MX Ergo」を使っている。
正確にはトラックボールというもので、マウスと違い腕自体を動かす必要はない。至るところにカスタムできるボタンがあるので、ソフトごとに切り替えながらショートカットを当てることができる。
このマウスを導入する前に比べて、動画のカット編集の時間は3倍程度早くなったという。マウスによって良い姿勢を保ち、集中できる時間もアップできる。これくらい信頼性の高いモノは他にあまりない、と断言している。
このほかに、毎日をリセットしてくれるコーヒーメーカー「Balmuda The Brew」、朝起きたら座りたくなる自製の一枚板デスクと椅子「エルゴヒューマンBasic」などを紹介している。
スケジュール管理は手書きでiPadに
仕事術もユニークだ。
継続することが苦手なので、「前日からフライングでスタートする」ことで、始める前のハードルを下げている。
1日のスケジュールは必ずiPadに書き出す。1日にやることを管理する他に、そのタスクを1日のどのタイミングで行うかも含めて、朝起きたらすぐ書き出すようにしているそうだ。
「iPad mini」を使い、スケジュールもネタも「GoodNotes5」というアプリで管理。Apple Pencilで手書きしている。
アプリ内にいくつものノートを作れるのが強みで、何冊もノートを持ち運ぶ必要もない。打ち込むよりも自分で書く方が頭も整理できていいという。
インフルエンサーとしての、自己ブランディング術も披露している。
なるほど、と思ったのは、発信の8割は誰かのタメになる情報。残りの2割はルーティンや旅のブログなど、自分自身に興味を持ってもらえるようなコンテンツを出すことだという。
テレビからスマホへと時代は流れ、次はVR(バーチャルリアリティー)やメタバースではないかと推測している。「新しい世界に飛び込むことは勇気のいることですが、だからこそ、競合も少なく、自分の仕事に活かすチャンスもある」と結んでいる。(渡辺淳悦)
「デジタルライフ・モノワーカー」
高澤け-すけ著
KADOKAWA
1540円(税込)