2023年5月8日から新型コロナウイルスが「2類」から「5類」に移行になるが、世の中の様々な会社の経済活動はどのくらい回復したのだろうか?
東京商工リサーチが2023年4月20日に発表した第27回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査によると、「すでに(新型コロナは)収束」と回答した企業は35.7%で過去最高になることが明らかになった。
また、宿泊業、飲食業、各種商品卸売業では売り上げが前年度比増になるなど、経済活動が活発になってきている実態がわかった。
「織物・衣服」「第一次産業」では売上高が前年度比減と苦戦
この調査は2023年4月3日から11日にインターネットアンケートで実施。有効回答4553社を集計分析した。なお、前回の第26回調査は、期間2023年2月1日から8日までで、2023年2月21日に発表した。
はじめに、「新型コロナウイルスの発生は、企業活動に影響を及ぼしていますか?」と質問した。「影響が継続している」との回答は「46.1%」となった。過去最低の前回調査では「60.4%」で、14.3ポイント改善し5割を切った。また、「影響が出たがすでに収束した」は過去最高の「35.7%」のようだ。
続いて、「貴社の2023年3月の売上高は、前年同月(22年3月)を「100」とすると、どの程度でしたか?」と聞いた。「100以上」の企業は「61.3%」で、「38.6%」が減収となった。
業種別「売上半減率」では、3月の売上高が前年同月と比べて半減した企業を業種別で分析したところ、「売上半減率」が最も高かったのは、「織物・衣服・身の回り品小売業」の「10.0%」だった。つぎに「農・林・漁・鉱業」の「7.6%」、「飲食業」が「5.5%」と並んだ。
続いて、「貴社の2023年3月の売上高は、コロナ禍前の3年前(2019年)3月を『100』とすると、どの程度でしたか?」と問いかけた。「100以上」は「49.1%」で、「50.8%」が減収していた。
「売上半減率」を業種別でみると、「不動産業」が「18.0%」、「飲食業」が「15.0%」、旅行や葬儀、結婚式場などを含む「生活関連サービス業,娯楽業」が「13.9%」と続いた。
これまでの質問で売上高が「101」以上の業種は、「宿泊業」や「鉄鋼業」が上位となった。「飲食業」では「88.8%」が増収だったようだ。
同社は
「これら2業種はコロナ禍で大きな痛手を受けたが、売上高は回復基調にあるようだ。コロナ前との比較では、鉄鋼業の『68.0%』が最も高く、次いで貿易商などが含まれる各種商品卸売業が『60.0%』だった」
と分析している。
マスク着用のルール...43.1%が事務所・外出先で、個人の判断を促す
また、「『実質無利子・無担保(ゼロ・ゼロ)融資』の返済負担の軽減などを目的とした『コロナ借換保証』が今年1月10日にスタートした。貴社は利用しますか?」の質問では、「利用した」は「9.6%」で、「利用する予定」は「4.9%」で、合計14.6%の企業が利用に言及した。
さらに、「3月13日から新型コロナ対策のマスク着用が個人の判断に委ねられました。貴社の現在のマスク着用のルールは以下のどれですか?」と聞いた。その結果、最多は「事務所・外出先ともに個人の判断」の「43.1%」となった。以下、「事務所・外出先ともに着用」の「20.1%」、「事務所では個人の判断、外出先では着用」の「19.0%」、「事務所では着用、外出先では個人の判断」は「17.5%」と続く。
続いて、「5月8日に新型コロナの感染症法上の位置づけが、2類相当から5類に移行します。貴社にはどのように影響しそうですか?」では、「受注に変化はなさそうだ」が「81.2%」で、「受注が増えそうだ」が「15.7%」、「受注は減りそうだ」は「2.9%」となった。
「受注が増えそうだ」と回答した企業を業種別でみると、「その他の生活関連サービス業」の「71.4%」、「宿泊業」の「58.3%」など対面型サービス業が上位に並んだ。
同社では総括として次のようにコメントしている。
「新型コロナウイルスの企業活動への影響について、『継続している』は46.1%で過去最低となり、『すでに収束』は過去最高の35.7%に達した。行動制限の緩和や自粛疲れなどによる人流回復の影響も大きいが、この3年間の環境変化にどのように対応してきたかの帰結でもある。今後の企業経営では、安易にコロナ禍の影響を理由に挙げることが難しい局面に入ったとも言える」