新型コロナウイルスも収まりはじめ、会社で導入したデジタルツールやZOOMの扱いはどうなっているだろう?
帝国データバンク(東京都港区)が2023年4月25日に発表した「社内外会議に関する企業の実態について調査」で、会社規模や業界でのオンライン会議のあり方について調べている。
なかでは、社内会議を対面で行う企業は全体の「61.8%」に上る一方、社外との会議ではオンライン・ハイブリッド合わせて「65.0%」の企業が積極的にデジタルを活用しているという。
同社ではデジタルツールの活用は様々なリスクを回避する「BCP(事業継続計画)対策」効果があるとしながら、5類移行後はビジネスパーソンの移動や出張などが増えるだろうことを指摘している。
対面での商談は「親密な人間関係作りにプラス」 一方、デジタルにもメリット!
この調査は2023年3月17日から3月31日まで、全国2万7628社を対象に調査し、有効回答企業は1万1428社(回答率41.4%)となった。
はじめに「社内会議」の実施方法を質問すると、「主に対面で実施」と答えた企業は「61.8%」で最も多かった。次いで「主にハイブリッドで実施」が「26.3%」、「主にオンラインで実施」は「6.3%」となった。
一方で、「社外との会議」について聞くと、「主にハイブリッドで実施」が「50.2%」で最も高くなり、社内会議よりも23.9ポイントも高くなった。
そのほか、「主に対面で実施」は「26.8%」となり、社内会議より35.0ポイントも低くなり、「主にオンラインで実施」は「14.8%」と社内会議よりも8.5ポイント高くなった。
「主にハイブリッドで実施」と「主にオンラインで実施」を足したオンライン会議を積極的に導入している企業は、合わせて「65.0%」となった。
回答に上がった声を集めてみると、
国によるマスク着用ルールが緩和された3月13日以降の会議は、対面になった。ただマスク着用の人が多い(鉄スクラップ卸売・大阪府)
基本的には新型コロナ前の全面対面式での会議や打ち合わせに戻っている。ただ、お付き合いなど飲食は40%ほど少なくなった(木造建築工事・栃木県)
対面での商談は親密な人間関係作りにプラスになる(食料飲料卸売・大阪府)
という対面での利点が挙がる一方で、
社内でのデジタル化や効率化が進んだことは間違いない。すでに社内会議や客先との打ち合わせなどがWEBで常態化したことにより移動費や時間の削減には大きくつながった(貸事務所・愛知県)
職場が工場であり、社内会議は基本対面になるが、社外会議はオンラインをメインにした。今後「5類」に移行しても大きくは変わらない(野菜果実缶詰等製・山形県)
対面での会議は増えると思うが、ウェブ会議はなくならないだろう。双方に異なったメリットがある(獣医・広島県)
などオンラインの利点を上げる声が寄せられた。
大企業ほどオンライン会議活用に積極的 業界では「金融」「サービス」
つぎに、「社内会議」の実施方法について企業規模別にみると、「主に対面で実施」が「大企業」では「35.3%」、「中小企業」では「66.7%」、「うち小規模企業」で「75.0%」と規模が小さくなるにつれて対面での実施割合が高くなった。
また、「主にハイブリッドで実施」や「主にオンラインで実施」は企業規模が大きいほど割合が高く、「大企業」では「主にハイブリッドで実施」(53.6%)と半数を超えた。
従業員数別でも同様の傾向がみられ、規模の大きさや従業員数の多さなどといった性質が社内でのオンライン会議のメリットを比較的受けやすくなるようだ。
かたや、「社外との会議」をみると、「社内会議」と同様に企業規模が大きくなるほどオンライン会議を実施する企業の割合が高くなった。
ただ、中小企業でも「主にハイブリッドで実施」は「48.0%」と半数近くを占め、「主にオンラインで実施」(14.7%)と合わせると、オンライン会議を積極的に導入している割合は「62.7%」に上った。
続いて、「社内会議」や「社外との会議」の実施方法を業界別にみてみると、現場での作業が多い「農・林・水産」や「建設」では対面による打ち合わせの比率が高く、一方で「金融」や「サービス」ではオンライン会議を積極的に行う割合が高かった。
引き続き、社内外との会議について「オンライン会議を積極的に導入」と回答した企業を業種別にみると、「情報サービス」(社内68.0%、社外90.7%)は全体の(社内32.6%、社外65.0%)を25ポイントほど上回る結果になった。
また、「人材派遣・紹介」(社内46.6%、社外83.0%)や「広告関連」(同40.7%、同78.8%)の割合の高さも目立っている。
最後に、社内外会議について「オンライン会議を積極的に導入」と回答した企業を地域別にみると、「社内会議」では、東京都を含む「南関東」は「42.1%」と全体の「32.6%」を10ポイント近く上回った。さらに、「近畿」(35.5%)は3割超となった。
『社外との会議』においては、「南関東」(69.2%)のみ全体を上回った。テレワークなど在宅勤務の実施割合が比較的高い大都市においてオンライン会議がより活用される傾向が示された。
調査結果への総括として同社は次のようにコメントしている。
「『社内会議』の実施方法について、「主に対面で実施」企業の割合が6割超でトップとなった。一方、『社外との会議』は「主にハイブリッド」が半数超で最も高くなった。企業規模が大きいほどオンライン会議を積極的に取り入れる割合が高く、地域別では特に『南関東』および『近畿』といった大都市でオンライン会議に積極的である企業割合が比較的高かった。なお、移動時間の削減などの理由でオンライン会議を実施する企業が一定数みられた。他方、対面・オンライン会議それぞれに一長一短があることを指摘する声もあった。
(オンライン会議は)事業を継続するうえで脅威となる災害の発生などさまざまなリスクによる被害の低減、いわゆる「BCP(事業継続計画)対策」効果も期待できる。不確実性が高い今の時代に、企業がリスクを抑えながら円滑に営業活動を行い、業績を伸ばしていくための一つの手段として、場面や状況に合わせて対面・オンライン形式での会議を上手く使い分けられるようになるであろう。
新型コロナ「5類」移行などの動きにより、対面形式の会議が徐々に復活する可能性も示されており、ビジネスパーソンの移動や出張の機会は増加してくるであろう」
なお、同社では大企業について製造業では「資本金3億円を超える」かつ「従業員数300人を超える」とし、卸売業では「資本金1億円を超える」かつ「従業員数100人を超える」、小売業では「資本金5000万円を超える」かつ「従業員50人を超える」、サービス業では「資本金5000万円を超える」かつ「従業員100人を超える」としている。