今後の焦点は、FRBが5月に利上げするかどうか
「米金融システム不安の再燃で、FRB(米連邦準備制度理事会)の高金利政策の長期化観測は後退しつつある」と指摘するのは、野村アセットマネジメントのシニア・ストラテジスト石黒英之氏だ。
石黒氏はリポート「米金融システム不安再燃で揺れる米国市場」(4月26日付)のなかで、米の小規模銀行の預金が急激に減っている現状をグラフで示しながらこう説明した【図表1】。
「3月に米金融機関が相次いで破綻したことをきっかけに、米小規模商業銀行から2週間で2000億米ドル(26兆8000億円)を超える預金が流出するなど、米金融機関の経営の先行き不透明感が強まっています【図表1】」
「米当局の対応もあり、足元で大規模な預金流出には歯止めがかかっていますが、今回のファースト・リパブリック・バンクのように個別で問題を抱えている金融機関が今後も出てくる可能性には注意が必要といえます。預金流出によって金融機関の貸出姿勢が厳しくな ると、他の業界で資金繰り懸念が高まることが想定されます」
そして、こう結んだ。
「5月のFOMC(米連邦公開市場委員会)を最後に、FRBが利上げを停止する姿勢を示すかが、米国市場の落ち着きを探るうえで焦点となります」