「AI(人工知能)に仕事を奪われる?」などの論議が沸騰するなか、フリーランスの多くは対話型AI「ChatGPT」(チャットGPT)などのAIの進歩を前向きにとらえていることがわかった。
フリーランス向け金融支援の「GMOクリエイターズネットワーク」(東京都渋谷区)が2023年4月24日、「フリーランスを対象にAIに関するイメージや利用状況についての調査」を発表したが、過半数の約56%が「AIの進歩は自分の仕事に良い影響を及ぼすと思う」と回答した。
「自分にはないアイディアを得ることができる」
GMOクリエイターズネットワークの調査は、自社が運営するフリーランスに特化した金融支援サービス「FREENANCE(フリーナンス)byGMO」に登録するユーザー633人が対象だ。
まず、「ChatGPT」をはじめとしたAIの急速な進化が注目されるなかで、「AIの進歩が自身の仕事へどのような影響をおよぼすと思うか」を聞くと、「良い影響をおよぼすと思う」(56.1%)が半数を超えた。次いで「わからない」(31.4%)、「良くない影響をおよぼすと思う」(12.5%)と続いた【図表1】。
「良い影響をおよぼすと思う」と回答した人に、「具体的にどんな影響を期待するのか」を聞くと(複数回答可)、「仕事をする時間が減る(業務効率化ができる)(73.0%)がトップで、次いで「新しいジャンルの仕事にチャレンジできる」(50.4%)、「自分にはないアイディアを得ることができる」(48.7%)、「仕事のミスが減る」(35.8%)などの意見が続いた【図表2】。
AIの活用による自己成長とキャリア拡大、さらに人間よりもはるかにミスが少ないAIの能力への期待が大きいことがわかる。
一方で、AIが「良くない影響をおよぼす」と感じている人は8人に1人(12.5%)にとどまったが、具体的にはどんな影響を心配しているのだろうか。 調査結果によると、「AIに仕事を奪われて、仕事の量や収入がダウンする」(65.8%)が圧倒的に多く、「AIを導入することで、情報漏洩などのリスク管理が必要になる」(27.8%)、「AIを導入するための勉強が必要になる」(26.6%)といった懸念も目立った【図表3】。
「デザイン業務の際のブレインストーミングに活用」
さて、実際にはどのくらいの人がAIを活用しているのか。「現在、仕事にAIを活用しているか」を聞くと、これまでにAIを活用「している・したことがある」(25.6%)人は約4人に1人という結果になった。「していないが、今後活用したいと思っている」(46.1%)という人も含めると、全体の7割以上(71.7%)がAIの活用に前向きだと考えられる【図表4】。
活用している人の具体的な例としては、「メルマガやバナーの文章作成」(Webデザイナー)、「プログラミングのサポート」(ITエンジニア)、「デザイン業務の際のブレインストーミングに活用」(コンサルタント)などがあがっている。
GMOクリエイターズネットワークでは、こうコメントしている。
「調査では、フリーランスの多くはAIが仕事へ良い影響をおよぼすと考えていることがわかりました。収入が安定しにくいという課題を持つフリーランスですが、AIの進歩による収入減を懸念する声よりも、『業務効率化』や『新しい仕事へのチャレンジ』といった前向きな発想を持つ人が多いという結果になりました」
調査は2023年4月6日~12日、フリーランス向けの金融支援サービス「FREENANCE byGMO」に登録しているユーザー633を対象にインターネットを通じてアンケートを行なった。
(福田和郎)