1人が1年間に出す「プラごみ」量は約32キログラム! 日本科学未来館「どうする!?プラごみ」展で学ぼう! 科学コミュニケーター・平井元康さんにも聞いた

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   日本科学未来館(浅川智恵子館長)のシリーズ企画「Miraican NOW」の「どうする!?プラごみ」の展示が話題となっている。

   この展示は世界的に関心の高まるプラスチックごみ問題の解決に向けた対策を、オブジェやパネル展示、ワークシートなどを使って来館者と科学コミュニケーターと一緒に探っていくもの。

   案内してくれた科学コミュニケーターの平井元康さんは「展示を通じて、決してプラスチックを悪者にするのではなく、一つではない答えをみんなで一緒に探していくきっかけにしてほしい」と呼び掛けている。

   企画展示は8月31日まで。3階の地球ディスプレイ「ジオ・コスモス」前のフロアで行っている。

  • 1人が一年間に出すプラごみを集めたオブジェ
    1人が一年間に出すプラごみを集めたオブジェ
  • 1人が一年間に出すプラごみを集めたオブジェ

見どころは1年分の「プラごみ」32キロを集めたオブジェ!

   日本科学未来館のシリーズ企画「Miraican NOW」の第4弾が、「どうする!? プラごみ」展だ。同館では、未来を考えるテーマとして「Life(ライフ)」「Society(ソサイエティ)」「Earth(アース)」「Frontier(フロンティア)」の4つを主題とした企画を行っている。

   今回は「Earth(アース)」をテーマとした企画。海洋汚染などの問題が大きな注目を集めている「プラスチックごみ問題」をモチーフにしたオブジェを制作し、プラごみ問題に取り組む企業・団体へのインタビューをもとに、パネル展示を並べている。

   プラスチックは、軽さや丈夫さ、加工のしやすさから私たちの生活を支える素材だ。しかし、廃棄された大量のプラスチックが処理されず、海や川に流れ出て生き物や生態系に悪影響を及ぼしている。また、マイクロプラスチックや添加剤は、食物連鎖を通じて人体にも入り込む可能性につながるなど、私たちへの健康被害も懸念されている。このため、世界的にさまざまな対策が進められている。

   このようななか、今回の企画展示では、プラスチックごみ問題の現状を視覚的・理論的に理解してもらい、来館者と解決策を探っていく。

   地球ディスプレイ「ジオ・コスモス」前の会場には、スタッフが持ち寄ったペットボトルや食品トレイなどを集めてつくった、人が一年間に出すプラスチックごみ32キロを集めたオブジェを設置。

企業・団体それぞれの取組を紹介
企業・団体それぞれの取組を紹介

   パネル展示では、プラスチックごみ問題を扱う企業や団体の取り組みを5つほど紹介している。

   その一つとして、株式会社JEPLAN(神奈川県川崎市)が行う、衣服の回収と再資源化の取り組みは注目を集めていた。

   同社は全国各地に置いたポストを通じて衣料品を細かく分解し、溶かして原料にまで戻し、新しい服にリサイクルする事業を行っている。

   同社の岩元美智彦社長はパネルでのコメントとして「こうした仕組みを通して大事に服を着たり、古着を買ったりするなど、服との付き合い方を考えてほしい」と呼び掛けていた。

   さらに、各社・団体のパネルには、付箋を使って、いろんなアイデアを投稿できるようになっていた。このうちJEPLANのパネルでは「あなたが循環させたいものは何ですか?」と問いかけていた。

   これに対して、子どもたちが貼ったアイデアをみると、「テニスが好きだから、すぐダメになってしまうテニスボールが循環するといい」や「絵本を読むのが好きだから、いらなくなった絵本を友達にあげたり、回収してくれる人に渡したりしたい」など、ユニークな意見が寄せられていた。

「海外ではこういう取り組みが普通だよ」海外からのお客様の意見・アイデアも刺激に

   こうした「プラごみ問題」について、さまざまな「気づき」が得られる今回の企画展。展示の企画・設営に携わった科学コミュニケーターの平井元康さんにも話を聞いた。

質問に笑顔で答えてくれた平井さん
質問に笑顔で答えてくれた平井さん

   ――まず、科学コミュニケーターとはどんなお仕事でしょうか?

平井さん 科学の話題は専門的でプロでなければ口をはさんではいけないような気がしますが、そんなことはなく、社会のさまざまな立場の人との対話を促進することで、一緒に考えを深めていくファシリテーター役を担います。いうなれば、科学コミュニケーターの役割ですね。
展示の企画や展示物の解説、イベントなどの取組を通して、科学を紹介し、研究の面白さを伝えるほか、一般の人々の疑問や期待を研究者や技術者に伝えることで、科学と社会の間に双方向のコミュニケーションを生みだし、人々が未来をつくる架け橋になることを目指しています。

   ――ユニークな職業ですね。今回の企画のねらいはどんなものですか?

平井さん プラスチックごみ問題の現状をみなさんに知っていただいたうえで、プラごみ問題は企業だけでも行政だけの問題でもなく、生活者に根差した問題であることに気付いてほしいことです。
プラスチックごみ問題を入り口に、あらゆる立場の人が対話し、協創しながらイノベーションを起こす「ともに未来をつくるプラットフォーム」にしていくことを理想にしています。

   ――子どもたちの顔が垣間見えるアイデアは、新鮮でとてもおもしろく感じました。

平井さん そうですね。私たちが考えるアイデアでも貢献できることを感じてもらい、地球環境問題に気づき、家族や友達との対話が促進されることを願っています。
また、海外からいらっしゃるお客様もアイデアを書いていってくれているので、「海外ではこういう取り組みが普通だよ」といった国際的な感覚も受け入れ、プラごみ問題の解決策を一緒に考えるきっかけになるとうれしいです。

   ――ありがとうございます。面白い展示だったので、たくさんの方の意見が集まることを祈っています。

平井さん 会期は8月31日までです。これから「G7」の会議でもプラスチックごみ問題は論題に上がるでしょうし、ゴールデンウィークや夏休みの長期休みを通じてたくさんの方が遊びに来てくれることを願います。

   ――本日はありがとうございました。

   なお、来館できない遠隔地の方も参加できる特設ウェブサイトも日本科学未来館では開設している。集まったアイデアは実践する企業・団体にフィードバックするほか、未来館の科学コミュニケーターがとりまとめ、定期的に発信していく予定になっている。

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