「海外ではこういう取り組みが普通だよ」海外からのお客様の意見・アイデアも刺激に
こうした「プラごみ問題」について、さまざまな「気づき」が得られる今回の企画展。展示の企画・設営に携わった科学コミュニケーターの平井元康さんにも話を聞いた。
――まず、科学コミュニケーターとはどんなお仕事でしょうか?
平井さん 科学の話題は専門的でプロでなければ口をはさんではいけないような気がしますが、そんなことはなく、社会のさまざまな立場の人との対話を促進することで、一緒に考えを深めていくファシリテーター役を担います。いうなれば、科学コミュニケーターの役割ですね。
展示の企画や展示物の解説、イベントなどの取組を通して、科学を紹介し、研究の面白さを伝えるほか、一般の人々の疑問や期待を研究者や技術者に伝えることで、科学と社会の間に双方向のコミュニケーションを生みだし、人々が未来をつくる架け橋になることを目指しています。
――ユニークな職業ですね。今回の企画のねらいはどんなものですか?
平井さん プラスチックごみ問題の現状をみなさんに知っていただいたうえで、プラごみ問題は企業だけでも行政だけの問題でもなく、生活者に根差した問題であることに気付いてほしいことです。
プラスチックごみ問題を入り口に、あらゆる立場の人が対話し、協創しながらイノベーションを起こす「ともに未来をつくるプラットフォーム」にしていくことを理想にしています。
――子どもたちの顔が垣間見えるアイデアは、新鮮でとてもおもしろく感じました。
平井さん そうですね。私たちが考えるアイデアでも貢献できることを感じてもらい、地球環境問題に気づき、家族や友達との対話が促進されることを願っています。
また、海外からいらっしゃるお客様もアイデアを書いていってくれているので、「海外ではこういう取り組みが普通だよ」といった国際的な感覚も受け入れ、プラごみ問題の解決策を一緒に考えるきっかけになるとうれしいです。
――ありがとうございます。面白い展示だったので、たくさんの方の意見が集まることを祈っています。
平井さん 会期は8月31日までです。これから「G7」の会議でもプラスチックごみ問題は論題に上がるでしょうし、ゴールデンウィークや夏休みの長期休みを通じてたくさんの方が遊びに来てくれることを願います。
――本日はありがとうございました。
なお、来館できない遠隔地の方も参加できる特設ウェブサイトも日本科学未来館では開設している。集まったアイデアは実践する企業・団体にフィードバックするほか、未来館の科学コミュニケーターがとりまとめ、定期的に発信していく予定になっている。