アナタの出世と転職意欲、業界&職種の「働く環境」のせいかも! 調査で判明...出世と転職に、どん欲な業界と社内部署は? そして、無欲な仕事は?

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   「ああ、出世したい!」「転職したいなあ」。そんな思いを抱きながら日々働いているアナタ。そうした思いは、けっこう、アナタが働く業界や職種という「環境」に左右されていることをご存じだろうか。

   マーケティングリサーチの「アスマーク」(東京都渋谷区)が2023年4月18日に発表した「『出世&転職意識』の業種・職種による違い調査」で明らかになった。

   いったいどういうことか。「彼を知り、己を知れば、百戦殆(あや)うからず」(孫子)という言葉もある。ビジネス世界で生き残るために、参考にしていはいかが。

  • よし、出世するぞ!(写真はイメージ)
    よし、出世するぞ!(写真はイメージ)
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出世と転職、収入にこだわりを持つ金融・保険業界

   アスマークの調査は、22~56歳の正社員男女1200人が対象だ。業種としては、「IT・情報通信」(147人)、「メーカー」(206人)、「卸売・小売」(114人)、「金融・保険」(70人)、「不動産・建設・設備」(105人)、「医療・介護・福祉」(157人)に分かれる。

   また、職種としては、「営業」(150人)、「一般事務・営業事務」(326人)、「経理・財務・人事・総務」(161人)、「マーケティング・経営企画」(31人)、「情報システム」(79人)、「販売・サービス」(104人)、「技術職」(234人)、「クリエイティブ職」(18人)、「その他」(97人)に分かれる。

   今回の調査は、業種と職種の双方から、転職や出世、報酬などを中心に仕事に関する意識の違いを探るものだ。

   まず、【図表1】を見ていただこう。これは「転職意向」や「出世意欲」、「高収入志向」の強さと弱さを表わすグラフだ。

(図表1)転職や出世に関する業種別の仕事意識(アスマークの調査)
(図表1)転職や出世に関する業種別の仕事意識(アスマークの調査)

   【A】に近いほど「チャンスがあれば転職したい」「出世したい」「経営に携わりたい」「収入が増えるなら、忙しくなってもいい」という意欲が強くなる。

   逆に、【B】に近いほど「1つの会社に長く働きたい」「出世したいと思わない」「経営に携わりたいと思わない」「収入が増えたくても、忙しくならないほうがいい」という気持ちが強くなる。

   【図表1】を見ると、業種別では、金融・保険が「転職」に関して前向きな考えの人が多く、「出世」に関しても他の業種よりどん欲であることがわかる。

   また、「積極的にスキルアップに取り組みたい」と「収入が増えるなら、責任が重くなってもいい」という考え方でも、他の業種より【A】に増えている。全体的に、金融・保険業は野心的な人が多いようだ。

   【図表2】は、「転職意向」や「出世意欲」、「高収入志向」の強さと弱さを職種別に比較したグラフだ。業種以上に、職種による仕事意識の違いが大きいことがわかる。

(図表2)転職や出世に関する職種別の仕事意識(アスマークの調査)
(図表2)転職や出世に関する職種別の仕事意識(アスマークの調査)

   特に「マーケティング・経営企画」や「営業」、「クリエイティブ職」で、他の職種と比べて特徴的な結果がみられる。「マーケティング・経営企画」は、「転職したい」「出世したい」「高収入を得たい」という3つの分野すべてで、他の職種と比べて突出して強い意欲を示している。

「好きなこと」に没頭できれば、収入と出世に無関心の「クリエイティブ職」

クリエイティブ職は出世欲がない?(写真はイメージ)
クリエイティブ職は出世欲がない?(写真はイメージ)

   これに続いて、全体的に強い意欲を示すのが「営業」だが、「スキルアップしたい」「転職したい」という分野では、「クリエイティブ職」のほうが「営業」を上回る。

   しかも、「クリエイティブ職」がユニークな点は、「収入」や「出世」「経営」の面への関心が、他の職種に比べて一番薄いことだ。「好きなことをやること」にはどん欲だが、それ以外のことには淡白なのかもしれない。

   さらに「転職」「出世」について深堀していこう。【図表3】は、「【A】チャンスがあれば転職したいVS【B】1つの会社で長く働きたい」という対立構図で業種別の「転職意向」の違いを探ったグラフだ。

(図表3)業種別の転職への意識(アスマークの調査)
(図表3)業種別の転職への意識(アスマークの調査)

   いずれの業種も「チャンスがあれば転職したい」が多数派だが、特に「金融・保険」は「転職意向」の高い人が半数を超える。「金融・保険」業界は規模が大きい企業が多く、比較的給与水準が高い業種だが、より高い給与を求めて転職するチャンスを窺っている人が多いようだ。

   続いて、「出世意欲」を探ろう。【図表4】は、「【A】出世したいVS【B】出世したいとは思わない」という対立構図で業種別の「出世意欲」の違いを探ったグラフだ。

(図表4)業種別の出世への意識(アスマークの調査)
(図表4)業種別の出世への意識(アスマークの調査)

   出世に対する意識は、いずれの業種も「出世したいとは思わない」のほうが多数派を占めたが、それでも「金融・保険」の「出世意欲」はトップで、次いで「卸売・小売」「メーカー」と続く。

「マーケティング・経営企画」と「営業」が、「出世の鬼」になる理由

   【図表5】で、同じ対立構図を使って職種別で比較してみると、出世欲の有無は業種より職種の影響を強く受けることが一目瞭然だ。

(図表5)職種別の出世への意識(アスマークの調査)
(図表5)職種別の出世への意識(アスマークの調査)

   「マーケティング・経営企画」の「出世意欲」がダントツに高く、それに「営業」が続く。この2つでツートップ状態だが、「クリエイティブ職」が極端なほど低いことが目立つ。ほとんど「無欲」といっていいほどだ。

   「マーケティング・経営企画」は経営に参画している人が含まれるため、出世欲も高いことが考えられる。また、「営業」は、頑張り次第で収入が増える仕事だから、「出世=収入増」の意識が高いのかもしれない。

   調査を行ったアスマークの担当者はこうコメントしている。

「今回は、業種・職種に着目しながら、転職意識、出世への意識を比較してみましたが、業種や職種で仕事意識の違いがあることが分かりました。会社を選ぶ際には、その会社の特徴だけでなく、業種・職種も重要な選択ですし、仕事内容の得意・不得意や、好き・嫌いは働くことに対する意識にも大きく影響を及ぼすと思います。
会社に長く勤めてもらうためには、個人がその業種・職種で働きたい理由・仕事の価値観などもみたうえで、その人の仕事意識に合った環境を提供できるか検討し、ミスマッチがないように採用判断することが重要だと考えられます」

   調査は2022年11月22日~25日、全国の22~56歳の正社員男女1200人を対象に、インターネットでアンケートを行なった。(福田和郎)

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