20代男女の「結婚観」「育児観」は、上の世代とこれだけ違う――。
博報堂(東京都港区)の社内プロジェクトである、働く女性を研究する「博報堂キャリジョ研」では4月21日に「結婚・育児における働き方意識調査」を発表した。
男女の結婚と育児における働き方の実態を明らかにしており、子どもが生まれたあとは「今よりも緩いペースで働きたい」とした20代女性は「57.9%」に上り、20代男性でも「39.0%」と 他の世代より高い傾向にあることがわかった。
これらの調査の総括として同所では「共働き世帯が増加したいま、家事育児へのフラットな分担意識が女性を中心に高まっている様子もうかがえました」と現代の結婚観を分析している。
20代男女で結婚後は「今と同じペースで」 出産後は「今より緩いペースで働きたい」が平均以上に
この調査は2022年10月14日から10月21日までの間、全国の20代から50代の働く男女2000人(男性400名、女性1600名)を調査。職種としては、総合・専門・一般や派遣・パートアルバイトなどは問わず、個人年収200万円以上とし、未婚・既婚は問わない、子供の有無は問わないものとした。また、女性は2020年国勢調査20-59才女性・就労人口構成比に準じて割付した。
はじめに、結婚後の働き方の意向について。
「今と同じペースで働きたい」が男性全体で「65.6%」なのに対して、女性全体は「55.6%」と10ポイントの差が開いた。
一方、20代は男女ともに「今と同じペースで働きたい」が各世代の平均を上回った。どうやら、若い世代にとって結婚はキャリアに影響しないと考える傾向があるらしい。
つぎに、子どもが生まれた後の働き方では、「今と同じペースで働きたい」という男性が「54.3%」に対し、女性は「24.7%」と2倍以上の差が開いた。結婚後の働き方よりも大きなギャップが見られた。
また、「今よりも緩いペースで働きたい」とした20代女性は「57.9%」、20代男性も「39.0%」に上り、全体平均よりも高くなっている。
同社では、
「仕事のペースを落とし、『夫婦一緒に子どもを育てたい』という意識が見られた。」
とコメントしている。
20代男性の約5割と20代女性の7割が「出産育児関連の制度が整っている会社で働きたい」と回答
続いて、会社に対する希望として、「出産育児関連の制度が整っている会社で働きたい」とした全体の女性は「50.5%」に対して全体の男性は「36.1%」。
他方で、20代女性は「70.7%」、20代男性は「49.6%」と若い年代では男女とも出産育児関連の環境が整った職場を希望する傾向があるようだ。
最後に結婚観・子育て観について。
「結婚後、共働きでも家計を支える主体は男性のほうが良いと思う」は女性全体で「11.1%」、男性全体でも「9.9%」となった。男女ともに家計を支えていく意識があるようだ。
また「家事や育児が分担できる相手と結婚したい」との回答は女性の「38.2%」が男性の「17.7%」を20ポイント以上上回った。
特に20代女性では「44.4%」にまで上った。女性には家庭内役割に対するフラットな意識があるようだ。
調査結果について同社では、
「今回の調査結果から、20代の若年男性の出産・育児への積極的な参加姿勢、職場の制度に対する意向や、ジェンダーに関わらず家事や子育てなどと仕事のワークライフバランスを求める兆しが見られました。
また、共働き世帯が増加したいま、家事育児へのフラットな分担意識が女性を中心に高まっている様子もうかがえました」
と総括している。