「シン富裕層」は本気で海外移住
「週刊ダイヤモンド」(2023年4月29日・5月6日号)の特集は、「シン富裕層」。新たな志向を持った億万長者、「シン富裕層」が日本で台頭してきているという。その投資、節税、相続の驚くべき実態に迫っている。
ひと昔前には職業として存在すらしていなかった仕事で、大きな収入を得る富裕層が生まれてきている。従来なかったのは、「ノウハウビジネス」型や「YouTuber」型、「暗号資産インベスター」型だ。ネットビジネスの進化や暗号資産の普及が彼らを生んだ。
また、医師などの高収入のエリートがさらに投資によって資産を急拡大するタイプもいる。彼らの資産運用術の7つの鉄則とは――。
1 長期の「目線」 「弱気相場は友だち」と考えている
2 投資の「分散」 保有10~25銘柄+候補10~25銘柄=20~50銘柄」を管理
3 ピラミッド型の「資産積み上げ」 ローリスク5・ミドルリスク3・ハイリスク2
4 投資家の「共通言語」「EPS(1株当たり純利益)」や「PER(株価収益率)」を理解
5 学術的な「裏付け」 「現代ポートフォリオ理論」は押さえておきたい
6 「天・地・人」3つの視点 経済動向、企業分析、投資手法いずれも相応のレベルに
7 投資手法の「高度化」 外国株式のオプション取引を知っているか?
◆超富裕層は、シンガポールへの移住を検討
こうして稼いだ彼らはどんな行動を取るのか。いま超富裕層は、シンガポールへの移住を検討しているという。その理由はビジネスのリモート化と「ドンキ」にあるという。リモート化はわかるが、「ドンキ」とは?
シンガポールでドンキは、「DON DON DONKI」の名称で15店舗ほどを展開する、生鮮食品が中心のスーパーだという。日本の肉、野菜、魚、調味料が数多く売られ、値段は日本の1.5倍くらい。シンガポールは税金が安いので、家計支出の実質的なキャッシュフローは日本と変わらない。
経営者が日本にいなくても問題ないビジネスモデルであれば、居住も生活もしやすく、10年という年月も乗り越えられる環境だという。
日本で富裕層への課税強化が進み、将来的な相続税を避けるために、とりあえずシンガポールへというのだ。
さらに、南海トラフ地震などの自然災害リスク、それに伴うハイパーインフレなどによる資産の激減リスクをヘッジしたいと考えているという。治安なども考慮すると、シンガポールが海外移住の選択肢として最有力になるそうだ。
元国税調査官が明かす税務調査のポイントを見ると、富裕層への課税は間違いなく厳しくなる。富裕層の節税、教育対策の要となる「海外移住」完全マニュアルまでまとめているから、「シン富裕層」の本気ぶりがうかがえる。(渡辺淳悦)