バズフィード、報道部門を閉鎖...インターネットメディアの終わりの始まり?

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   米新興インターネットメディアのバズフィードは2023年4月20日、報道部門「バズフィード・ニュース」を閉鎖すると発表した。同社は全従業員の約15%にあたる約180人規模を削減する計画で、赤字解消のめどが立たない報道部門がお荷物になったかたちだ。

   一つの時代の変わり目を象徴する出来事になるかもしれない。

  • バズフィード、報道部門を閉鎖(写真はイメージ)
    バズフィード、報道部門を閉鎖(写真はイメージ)
  • バズフィード、報道部門を閉鎖(写真はイメージ)

「スクープ連発」で広告収入稼ぐビジネスモデルが崩れ... 株主からの突き上げも

   インターネットメディアは、新聞やテレビといった「オールドメディア」に代わる報道の担い手として期待されていた。オールドメディアの敏腕記者も続々とインターネットメディアに籍を移し、良質な報道を連発していた。

   その中心にいたのがバズフィード・ニュースだ。

   2021年には、衛星写真などを分析して中国当局による少数民族、ウイグル族に対する弾圧の実態を可視化。このスクープは優れたニュース報道に贈られるピュリツァー賞を受賞している。

   ただ、ここにきてインターネットメディアに対する期待は急速に縮んでいる。最大の要因は、インターネットメディアのビジネスモデルが崩れつつあることだ。

   インターネットメディアは広告収入に支えられている。スクープを連発することで広告価値をあげ、そこで得た多額の資金をもとに新たなスクープを生み出す――これが従来の勝利の方程式だった。

   しかし、バズフィード・ニュースが得意とする調査報道はウェブで公表するまでに多くの時間がかかるうえ、人員を含め莫大なコストがかかる。

   公表してもPVが伸びなければ広告収入にはつながらない。赤字続きのバズフィード・ニュースは態勢を縮小しながら何とか報道を続けてはきたものの、バズフィードの株主からは「早期に閉鎖しろ」と突き上げられていた。

買収した「ハフポスト」に一本化する方針も、先行き不安視する声

   バズフィードは2020年、ニュースサイト「ハフポスト(旧ハフィントン・ポスト)」を買収している。ハフポストは黒字状況が続いているとされており、今後はニュースをここに一本化する方針だ。

   ただ、先行きを不安視する声は強い。

   あるメディア関係者は「広告収入の依存度が高い体質自体はバズフィード・ニュースも、ハフポストも変わらない」と指摘したうえで、次のように予測する。

「早晩、調査報道など『カネにならない』報道からは手をひき、芸能など簡単にPVを稼げる分野に注力していくのではないか」

巨大プラットフォームがネット上の生殺与奪を握る現実

   広告依存以外にも問題がある。

   インターネットの世界で絶大な力を持つのは、巨大プラットフォームを有する一部のIT大手だ。

   オールドメディアを含め、インターネット上でニュースを公開しているサイトに人を集めるには巨大プラットフォームからの流入に依存せざるを得ない状況にある。

   バズフィード・ニュースの不振も、米メタ(旧フェイスブック)がSNSの表示方針を変更したことが決定打になったとも言われている。

   バズフィードの創業者でもあるペレッティCEOは従業員向けのメッセージでこう不満をぶちまけた。

「巨大プラットフォームが良質な無料ジャーナリズムに必要な財政支援をしようとしないことが受け入れられなかった」

   巨大プラットフォームがネット上の生殺与奪を握る現実を前に、インターネットメディアはビジネスモデルの見直しを迫られている。(ジャーナリスト 白井俊郎)

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