兼業・副業先での平均的な労働時間は? 週10時間以上の割合、若手医師で高く
しかし、大学病院は地域の中核的医療機関としての機能の他に、地域の医療機関に医師を派遣する等により地域医療の一翼を担っており、このため大学病院に勤務する医師は兼業・副業が多い。
さらに、現在、大学病院の医師の給与は一般医療機関や国立病院機構と比べて、年収で500万円から700万円ほどの差が生じている。そのため、大学病院の医師のほとんどは、兼業や副業により給与差額分を補っているという現状もある。
直近3か月の兼業・副業先での平均的な労働時間では、週5時間~10時間未満が最も多く、552人(56.3%)で、次いで週10時間~15時間未満の169人(17.2%)となっている。また、週10時間以上の割合は若手医師で高くなっている。(表2)
また、兼業・副業先での平均的な週当たり宿直回数は、「週1回」が最も多く247人(25.3%)、次いで「週2回」の39人(4.0%)となっている。(表3)
医師の働き方改革により労働時間が短縮されることで、最も影響を受けると考えられる業務では、「診療」が最も多く58.3%、次いで「研究」が29.8%、「教育」が11.9%という結果となった。
2024年問題により、大学病院の診療が大きな影響を受けることは、医療水準の低下につながる。また、教育・研究への影響は大学の根幹を揺るがすもので、日本の医学・医療に重大な影響を及ぼす可能性がある。
大学病院の医師の2024年問題を解決するためには、ICT(情報通信技術)などによる医師をサポートするシステムの充実とともに、給与水準の引き上げなどによる人員の増強などを図ることが急がれ、政府の十分な支援が必要だろう。