いくら教えても反応なし?! リアクションが薄い新入社員をどう育てる?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE27(後編)】(前川孝雄)

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残り3つのステップとは? 目指すはアクティブリスニングとしての「傾聴力」

■ステップ4...「確認」する(繰り返し、言いかえ)

   次に、相手の話の内容や、気持ち・感情を確認します。その方法として、相手の話のポイントを復唱する「繰り返し」と、相手の言葉を別の表現で確認する「言い換え」が有効です。

   「仕事の大事なポイントは〇〇だ」との言葉に、「〇〇がポイントなのですね」と復唱したり、「ただ、複数の仕事が重なってきた時には、どれから着手するか考えるのが大事だ」とのアドバイスに、「複数の仕事の優先順位づけが大切なのですね」などと言い換える方法です。

   話し相手には、あなたに自分の話や気持ちが伝わったことがわかり、安心と納得が得られます。

■ステップ5...「理解」を示す(要約)

   さらに、相手が伝えたい内容を正しく理解していることを示すために、話の要点を短く伝え返す「要約」を行います。「要点を整理すると、〇〇と○○が課題で、改善のためには○○が必要ということですね」といった具合です。

   要約にあたっては、自分の思い込みの押し付けにならないように気をつけましょう。相手の反応をよく見聴きして、とらええ方にズレがあるようなら、どこにズレがあるのかをきちんと訊き直し、再確認していくことが大切です。

■ステップ6...「訊く力」を発揮する(質問)

   傾聴の真価は、最後に相手に「質問」を投げかけ、内省を促し、より深い考えを聴くことが大切です。ただ一方的に聴くだけでなく、アクティブリスニングとしての傾聴力の発揮です。

   上記までのステップで相手の問題意識や気持ちを把握したら、それについて「なぜ〇〇と思うのですか?」「どのような手立てが考えられるでしょうか?」などと問いかけ、相手にさらに考えてもらい、より深い話や次のアドバイスなどを引き出すのです。

   「聞く力」―「質問力」と「傾聴力」は、コミュニケーション力をアップするために、身につけたい基本の力。新入社員にはぜひ向上をうながし、習得への支援をしていきましょう。

※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)をご参照ください。
※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。


【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授

人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『コロナ氷河期』(扶桑社)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版)、『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks)、『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所)等30冊以上。最新刊は『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)。

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