いくら教えても反応なし?! リアクションが薄い新入社員をどう育てる?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE27(前編)】(前川孝雄)

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「聞く力」を高める2つのポイントとは?

■「聞く力」その1...質問力を伸ばす

   新入社員の「聞く力」を向上させるには、まず「質問力」―訊く力―を意識して磨かせることです。 具体的には、ミーティングや面談で新入職員に仕事の説明をした後に、必ず質問をうながしましょう。新入社員は、初めから上司や先輩の説明全てを理解することは難しいものですが、一方で質問も遠慮しがちです。

   それは、知識や経験の不足から、口頭での説明だけでは実感が伴わず腑に落ちないこと。また、そもそも自分の立場から、何をどの程度理解すべきかが分からない状態でもあるからです。つまり、何がわからないかがわからず、どこまで聞けばよいかもわからないということ。

   そこで、上司・先輩は、説明の後で、必ず「疑問や、わかりにくいことは?」「さらに知りたいこと、訊きたいことは?」「どんな質問でも積極的に出して」と問いかけましょう。新入社員にとっては、きちんと訊けるようになるためのトレーニングです。

   自分は何がわからないのか、わかるために何を訊けばよいか、より理解を深めるための情報は何か、を考えさせるのです。そして「新入社員である今は、何を訊いても許される時期。わからないことや疑問をそのままにせず、遠慮せず、どんどん質問するように」とうながし、積極的な質問の姿勢を引き出しましょう。

■「聞く力」その2...傾聴力を伸ばす

   「聞く力」の向上のために、次に求められるのは「傾聴力」―聴く力―です。傾聴とは、読んで字のごとく、相手の言葉に注意を傾け、耳と目と心で聴き、相手の主張と気持ちをより深く把握するためのコミュニケーション・スキルです。相手の話を、聴き手の先入観で決めつけず、途中で遮ることなく、共感的に受け止めることで、相手に「聴いてもらえた」という安心感を与えることができます。

   傾聴は、新入社員にとってはやや高度なスキルですから、まず上司・先輩がロールプレイで見本を示し、学ばせるとよいでしょう。なお、上司にとっては、部下との1on1ミーティングなどでの必須アイテム。まず自身が習得し、使えることが大前提です。これを機に、再確認しておきましょう。

   では、傾聴力を身につけるために、具体的にはどうしたらよいか――。6つのステップに整理して、<いくら教えても反応なし?! リアクションが薄い新入社員をどう育てる?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE27(後編)】(前川孝雄)>で解説していきましょう。

※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)をご参照ください。
※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。


【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授

人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『コロナ氷河期』(扶桑社)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版)、『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks)、『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所)等30冊以上。最新刊は『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)。

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