新卒採用担当者のみなさんは、学生と素直に向き合っていますか?
学情が2023年4月18日と19日に発表した2つの調査をみると、イマドキの新卒学生は自分の本音の気持ちを大切にしていて、面接でも率直な意見を述べているという調査結果が出た。
調査の中で学生たちは、職場とのミスマッチやその後の活躍のためにも、採用担当者からも本音で個人の意見を話してほしいと希望しており、「Z世代」との面接のあり方が浮かび上がってきた。
面接で本音を話す学生63.1% 面接での「評価重視」は31.4%
現在就職活動をしている世代にあたる「Z世代」は、ありのままの自分を表現し、ありのままの他者を尊重することを大切にしていると言われている。今回の調査では、等身大であることを大切にするZ世代は、面接において「自身の本音」を伝えることをどのようにとらえているのか調べるために、アンケートを実施したものだ。
まず1つ目の「就職意識調査」の一環で「面接で本音を話したいか」について調査した。結果は4月18日に発表した。対象は、「あさがくナビ2024」のサイト訪問者645人。調査期間は3月14日~30日。
はじめに「面接の際に、本音で話せていますか」と問いかけた。「本音で話せている」と回答した学生は「20.3%」、「どちらかと言えば本音で話せている」は「42.8%」。合わせると、「63.1%」の学生は本音で話せているようだ。
続いて、面接において「本音で話したい」と回答した学生は「59.5%」に上った。「どちらかと言えば本音で話したい」の「29.1%」を合わせると、本音で話したいと回答した学生は「88.6%」となった。
つぎに、面接で「本音で話すこと」と「面接での評価」のどちらをより重視するかの質問において、「本音で話すことを重視している」(21.7%)、「どちらかと言えば本音で話すことを重視している」(35.7%)を合わせると「57.4%」になった。
一方、「面接での評価を重視している」(7.1%)、「どちらかと言えば面接での評価を重視している」(24.3%)と回答した学生は合わせると「31.4%」となった。
回答者の声を見てみると
「面接官に評価されることを意識するよりも、本音で話したほうが結果的に評価されると思う」
「本音で話したうえで評価してもらえたほうが、入社後活躍できると思う」
「面接での評価を重視した受け答えで採用してもらっても、入社後に上手くいかなければ意味がない」
といった声が挙げられている。
また、「面接で本音を話すことができると志望度が上がる」と回答した学生が「46.5%」となった。「どちらかと言えば志望度が上がる」(30.5%)を合わせると、「78.0%」に上る学生が、面接で本音を話せると志望度が上がるという。
ミスマッチを防ぐために「本音」重視 「自身の想いや考えを聞かせてくれる人事担当者がいる企業は好感が持てる」
では、こうした「面接では本音で話したい」学生を採用するためには、人事部門はどのように対応するとよいのか?
もうひとつ、学情がおこなった「人事担当者とのコミュニケーション」についての調査結果(4月19日発表)が参考になるだろう。この調査は2023年3月14日から30日まで行った。対象は、「あさがくナビ2024」のサイト訪問者645人。
まず、採用において「人事担当者は本音で話してくれていると感じる」と回答した学生は「12.9%」だった。「どちらかと言えば本音で話してくれていると感じる」の「25.9%」を合わせると、「38.8%」の学生は「本音で話してくれている」と感じているようだ。
他方で、「本音で話してくれていないと感じる」(9.5%)、「どちらかと言えば本音で話してくれていないと感じる」(15.7%)と回答した学生も「25.2%」になった。
4人に1人は、採用において人事担当者は本音で話してくれていないと感じていることが分かった。
続いての質問では、「人事担当者や現場の社員の本音を聞きたい」と回答した学生が「75.7%」となった。「どちらかと言えば本音を聞きたい」の「18.6%」を合わせると、人事担当者や現場の社員の本音を聞きたいとした学生は「94.3%」にまで達している。
回答者の声をきいてみると、
「入社後活躍できるかどうかをイメージするために、リアルな情報を知りたい」
「自分の大切にしたいことや貢献したい課題と、会社の方向性が合致しているかを知りたい」「人事担当者や現場で働く人の想いや考えを聞き、自身の目指す方向性と合致しているかを確かめたい」
「ミスマッチがないように、企業のリアルを知っておきたい」
という意見が上がる。
このほかにも
「人事担当は、企業の良い点にスポットを当てて学生にアピールすることが役割だと思う。その中でも、『個人的にはこう思っている』『私はこう思う』と自身の想いや考えを聞かせてくれる人事担当者がいる企業は好感が持てる」
「企業の良いところも、これから改善していくべきところも包み隠さず話してくれる人事担当者は信頼できる」
という意見も上がっている。
本音で話したいZ世代をうまく採用するためには、人事担当者やOB・OGが学生に真摯かつ誠実に対応することが人材獲得の秘訣なのかもしれない。