国立大学・大学院への外国人留学生数、5000人以上の増加...コロナ禍前の水準に 「国際化」目標の10%にはまだ届かず(鷲尾香一)

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日本人学生の海外留学、21年度は0.4%に

   一方で、新型コロナの影響を最も受けたのは、日本人学生の海外留学だ。

   海外留学者数はピークだった2018年度の3万2828人から、2020年度には168人にまで減少した。

   日本人のみの総学生数に対する日本人留学生の比率も、ピークの2018年度の5.9%から2020年度には0.0%となった。2021年度には留学生数で2352人、比率で0.4%まで回復してはいるものの、2018年度のピークには遠く及ばない状況だ。(表4)

   留学生の内訳では、1年以上の長期留学が大学の学部で80人、大学院で90人の計170人、1年未満の短期留学が学部で1479人、大学院で693人の計2172人となっている。長期と短期の合計では、学部が785人、大学院が2352人となっている。

   国際化の目標では2020年に学部と大学院を合わせた日本人のみの総学生数に対する日本人留学生の比率を5%にすることを掲げていた。これについては、2017年度に目標を達成していたものの、2021年度に0.4%に低下したことで、振り出しに戻ったかたちだ。

   世の中的には、国を跨ぐ移動が自由になったことで、外国人訪日客(いわゆるインバウンド)の増加ばかりが取り上げられている。だが、大学の国際化はまだまだ回復途上で、国際化が遅れていると言われる日本の大学にとっては、大きな課題が残った状態だ。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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