トラック運転手の「2024年問題」、さらなる物価上昇のリスクに
同欄では、第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏も、
「生鮮食品除くコアの伸び率は横ばいでしたが、エネルギーも除くコアコアで伸びが高まりました。背景には、40年ぶりの世界的インフレにより、日本企業も値上げを余儀なくされたことで、デフレで失われた企業の価格転嫁メカニズムに復活の兆しが出てきている印象です」
と分析。白井教授と同様に、
「特に食品値上げ圧力が強く、4月に政府小麦売り渡し価格も上がりましたから、値上げは持続するでしょう。なお、次回の4月分は年度が替わり、多くの企業で価格改定が行われますので、強めの数字が出てくる可能性があると思います」
と、さらなる物価上昇を予想した。
同欄では、日本経済新聞社編集委員の志田富雄記者が、別の角度から、懸念を示した。物流問題だ。
「食品メーカーは今後の価格上昇要因としてトラック運転手の残業規制が強化される2024年問題(物流コストの増大)や、賃金を引き上げないと工場労働者の確保が難しくなっていることを挙げます。国内にも値上げの要因はあります。加えて、電力料金がさらに引き上げられれば、それも大きな価格上昇圧力になります。値上げのペースが鈍っても上昇傾向が長期化する可能性はあります」
一方、ヤフーニュースのコメント欄では、三菱UFJリサーチ&コンサルティング主席研究員の小林真一郎氏が、
「3月の生鮮食品を除く総合では2月と同じ前年比3.1%上昇と、伸び率の拡大に歯止めがかかった形ですが、政府の物価高対策の効果で約1.0%押し下げられており、コアコア指数では、2月の前年比3.5%上昇から同3.8%と上昇圧力はむしろ高まっています」
と説明。つづけて、
「なお、2022年度全体では、前年度比3.0%上昇と1981年度の同4.0%上昇以来の高さです。
内容をみると、政策効果等で電気代を中心にエネルギーが前年比3.8%低下と2か月連続でマイナスとなる一方、鶏卵、食用油、ハンバーガーなどを中心に『生鮮食品を除く食料』の上昇ペースが前年比8.2%と高いほか、円安の影響もあり、家庭用耐久財などでも上昇圧力が高まっています。資源価格のピークアウト、円安一服などの一方で、新年度入りのタイミングでサービス価格が上昇する可能性もあり、物価は当面、高い伸びを続けそうです」
と、こちらも当分、物価上昇が続くとした。