セールスフォース・ジャパン「一人で勝つな、一人で負けるな」
さて、ランクインした企業を各評価スコア別で見てみると、上位ランクイン企業は「社員の士気」「風通しの良さ」「20代成長環境」の3つのスコアが押し並べて高い傾向にある【再び図表】。
新入社員はファーストキャリアで成長環境を求める傾向にあるため、「20代成長環境」のスコアが高い企業ほど、総合評価が高い傾向にあるのは当然といえる。だが、その一方で、「社員の士気」と「風通しの良さ」の指標もZ世代は重視している。
仕事に対するモチベーションがあがるし、ポストコロナ時代では、多様な働き方がかない、さまざまな価値観もつ人々と尊重し合うことが一層求められるからだ。
個社別にみると、1つの指標に特化し高い評価を得ている企業があった。たとば、ヤフーは全体評価では25位だが、「風通しの良さ」だけで見ると10位となり、特徴が浮かび上がる。また、ファーストリテイリング(21位)、ユニクロ(26位)、ジーユー(27位)は「人事評価の適正感」「待遇面の満足度」のスコアが特に高い特徴があった。そんな「個性的な企業」のクチコミをみると――。
セールスフォース・ジャパン「『一人で勝つな、一人で負けるな』という言葉が浸透しており、普段は関わったことのない社員でも相談事などは親身に乗ってくれる。ナレッジ(知識・知見)をシェアする文化もあり、部門ミーティングではトップパフォーマーのナレッジシェアの時間が確保されている」(インサイドセールス、女性)
デロイト トーマツ コンサルティング「同業他社と比較すると、若手の能力が伸びやすいように感じている。風通しも良く、業務の上での意見を積極的に述べやすい」(コンサルタント、女性)
三井物産「盤石な収益基盤を持った上で、新規事業開発に挑戦できること。挑戦がよしとされ、かつ労働環境が整備されており、ビジネスを学ぶ場としては最高と思う」(営業、男性)
ベイカレント・コンサルティング「成果を出せば評価され、次年度の給与に反映されるため、成果を出すことや自分自身のスキルを伸ばすことへの意識が高い社員が多い」(コンサルタント、男性)
クイック「出る杭を伸ばす、オープンでフランクな風土など、考えに一貫性がある会社。採用のタイミングから常に理念浸透を謳っているため、それに共感した社員が入社をしており、社員が同じ方向を向いて仕事を行なっている」(コンサルタント、男性)
ヤフー「非常に風通しのよい職場です。1チームが5~10人程度で構成されるが、チーム内での人間関係のマンネリ化を防ぐ狙いで、プロジェクトごとに複数チームが協力して開発を行っています」(エンジニア、男性)
ファーストリテイリング「自分で決めた目標に対して半期ごとに取り組み、実際にボーナスなどで評価されるので非常にやりがいがある」(店長、女性)
このような「生の声」を見ていくと、「若手にどんどん冒険をさせる」「成功すれば互いに褒め合い、かつ正当に評価する」といった、躍動感あふれる企業の「魂」と「文化」が、新入社員たちに働きがいとやる気を生み出しているようだ。
調査は、OpenWorkに投稿された会社評価レポートのうち、2020年以降に入社した新卒社員による2万1093件を「コロナ時代の新卒社員」として集計、分析した。ただし、2022年の新卒入社者は、データ集計時点でOpenWorkの投稿条件である「就業経験1年以上」を満たさないため対象外とした。(福田和郎)