ブームに乗って退職したZ世代、89%が「元の同僚が懐かしい」と後悔
ところが、「自らの意志」で仕事を辞めることが、必ずしもよりよい人生につながるわけではなさそうです。
若者を中心に、「グレート・レジグネーション」のトレンドが広がるなか、水を差すような調査結果が公表されてニュースになっています。
なんと、ブームに乗って仕事を辞めた人の80%が退職を「regret」(後悔)しているというのです! 若いZ世代に至っては、その割合が89%に達するという、驚きの結果となっています。
80% of workers who quit in the 'great resignation' have regrets, according to a new survey
(新しい調査結果では、グレート・レジグネーションで退職した労働者の80%が後悔している:米CNBC)
米Paychex社が、825人の退職者と354人の雇用主にアンケート調査を行ったところ、仕事を辞めたビジネスパーソンのうち80%が「自分の決断を後悔している」という結果になりました。
さらに驚くのは、Z世代ほど「元の職場」を懐かしんでいる傾向にあるということ。89%が退職を後悔しており、その結果として、「メンタルヘルスが悪化している」という結果を伝えていました。
よりよい環境を求めて仕事を辞めたはずが、逆にメンタルヘルスが悪化しているとは本末転倒のような気がします。それでも、「元の職場の同僚たちが恋しい」と思っていることが、後悔している一番の理由だというのは理解できます。新しい職場でいちから人間関係を築く難しさは、万国共通なのでしょう。
こうした状況を、専門家は「辞めることがブームになりすぎたことのデメリット」だと指摘しています。仕事を辞めることが比較的簡単だと感じてしまうことで、慎重な判断をせずに衝動的に辞職するケースも相次いでいるようです。
英BBC放送は「みんなが辞めているから」という理由で簡単に辞めてはいけない。「辞職や転職がキャリアを妨げる可能性がある」として、「今の職場で十分なことをしたり、しっかりとした推薦状を得るに値する時期になるまで辞めるべきではない」という専門家の警告を伝えていました。
それでは、「今週のニュースな英語」は、「great resignation」(大量退職)に関する表現を紹介します。こうしたトレンドワードは、ひと言で意味が通じる「便利ワード」ですから、ぜひとも覚えておきましょう。
The post-COVID 'Great Resignation' comes to Asia
(コロナ禍の後、グレート・レジグネーション現象がアジアに到来している)
'The Great Resignation' is over
(グレート・レジグネーション現象は終わった)
The Great Resignation led to big regrets
(グレート・レジグネーションは大きな後悔をもたらしている)
今回の報道で一番心に残ったのは、「急に辞めて上司を困らせてやる!」といった「腹いせ」を退職理由に挙げている若者が多かった、ということでした。そうした選択の多くが「後悔」につながり、結果として上司よりも自分が困っているとしたら皮肉なことです。
理不尽な環境で働くことを強いられている人も多いでしょう。自分にとって何が幸せなのか。答えを見出すことは簡単ではなさそうです。(井津川倫子)