脱炭素「待ったなし」! 「水素社会」目指す岩谷産業を買う【脱炭素銘柄をねらう】

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   いまや世界中が「脱炭素」に向けて動き出している。どの企業も、「脱炭素」社会の実現に向けた貢献を試されるフェーズとなってきた。

   その取り組みの一つが、太陽光や水力、風力、バイオマスなどの再生自然エネルギーを活用した電力の確保だ。街にはクリーンエネルギーを使った空調システムが稼働し、エコカーが走るようになる。そんな世界を、企業も人も目指している。

   「待ったなし」の脱炭素への取り組みから、株式投資を考えた――。

   そんな「脱炭素銘柄」を探していく連載「脱炭素銘柄をねらう」。第1回は、水素エネルギーに着目した取り組みに注力している「岩谷産業」(銘柄コード8088)を取り上げる。

水素社会は、着実に一歩ずつ進んでいる

   「水素社会の実装に向けた最新動向」と題した「イワタニ水素エネルギーフォーラム東京」(東京国際フォーラム、2023年3月9日開催)に参加した。これは、2006年に第1回が開催されて以降、毎年開催されており、今年で16回目を迎える。コロナ禍で、リアルでの開催は4年ぶり。

   当日配布された、資源エネルギー庁作成の「今後の水素政策の方向性」によると、「日本の強みを発揮できる5つの戦略分野」には、

(1)輸送部門(FCV・商用車・船舶など)
(2)国際水素サプライチェーン(水素運搬船など)
(3)水電解装置
(4)水素発電(燃料電池、大型タービン)
(5)産業部門での燃料・原料利用

――があげられていた。

   戦略分野の(2)国際水素サプライチェーンには、「世界初の液化水素による水素の大規模海上輸送に成功」(2022年4月)が記載されている。当日、世界初の水素運搬船(川崎重工)の実証実験の結果を踏まえ、次のステップとして大型化の問題が話題にあがっていた。

   戦略分野の(4)水素発電(燃料電池)では、燃料電池は主にモビリティと定置用の2つの用途が想定とあり、新たに定置用が加わっていた。

   供給面では、水素ステーションから水素を使用する施設(工場)へのパイプラインによる供給も話題にのぼっていた。

   今回のフォーラムでは、水素エネルギーも実証段階から実装に向けて、さまざまな問題を抱えながらも、着実に一歩ずつ進んでいる様子が見て取れた。

   海外でも水素ステーションの設置は、急速に進んでいる。

   HydrogenCouncil(約150の運営メンバー、支持メンバーと投資家グループで構成されている「水素協議会」)が作成した世界初となる水素利用の具体的ビジョン「HydrogenCouncil(November2017)」では、2030年の目標である1000~1500万台のFCV(燃料電池自動車)に水素を供給するには、1万5000か所の大型水素ステーションが必要になると分析している。

   「各国の水素ステーション設置目標」を見ると、日本は2030年までに900か所、ドイツは23年までに400か所、中国は30年までに1000か所以上を計画している。

水素販売で国内シェア7割

   わが国の「水素ステーション整備目標」は、2020年度までに全国に水素ステーション160か所程度を設置し、2025年度までに、さらに倍増(320か所)、2030年度までに900か所となっている。

   なお、「2020年代後半の水素ステーションの自立化以降は、水素需要の伸びに合わせ、適切に水素ステーションを整備していく」としている。当日の資料によると、これに対しては整備中を含み、179か所(2022年12月末現在)が設置されている。

   「イワタニの水素ステーション」は現在、国内53か所、米国5か所が運営中。23年度までに国内で新たに30か所(計83か所)、米国で18か所(計23か所)の建設・運営を予定していると書かれている。

   こうしてみると、水素ステーションの設置はスケジュールどおりに進んでいるようだ。

   日本の水素のパイオニアで、水素販売で国内シェア7割を占め、水素ステーションも本格展開を進めている岩谷産業は、中長期的な視点から有望銘柄と考えている。

   岩谷産業は、東証プライム【中型】に分類され、PBR(株価純資産倍率)で1.12倍と、東証の求める1.0倍をクリアしている。

   米国の根強いインフレ圧力に対して、FRB(米連邦準備制度理事会)は難しい舵取りを迫られており、この状況を反映して米国株式市場も強弱入り混じる展開となっている。

   株価は上げることもあれば下げることもある。岩谷産業株が大きく下げることがあればぜひ取得したいと考えている。取得価格は、4000円~4870円(昨年来安値)あたりとみているが、どうか?(石井治彦)

岩谷産業(8088)
年初来高値2023年4月19日●6580円
年初来安値2023年1月10日●5360円
直近 終値2023年4月20日●6430円

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