計画の具体化段階で「つまづき」が 安倍氏が推進したIRの機運、当初より盛り下がり
IRを運営するのは、米国のカジノ大手MGMリゾーツインターナショナルの日本法人やオリックスを中心に、地元企業なども出資した「大阪IR株式会社」。
計画の具体化に向けていよいよ動き出すタイミングで、さっそくつまずいた。
MGM日本法人が大阪府・市に提供したIRのイメージ図や動画で、世界的美術家である奈良美智さんや村上隆さんの芸術作品を無断使用していたことが判明。府・市はホームページなどから関連動画を削除し、MGM日本法人は謝罪に追い込まれた。
建設業界などで人手不足が深刻化する中、大阪IR株式会社は今後、巨大施設の整備に向けた調整など難しい課題に挑むことになる。「初っ端からこれでは先が思いやられる」。地元からこんな声が上がるのも当然だ。
そもそもIR整備は安倍晋三政権下の2018年に関連法が成立し、全国で候補地探しが始まった経緯がある。
当初は多くの自治体が誘致に関心を寄せたが、収益性などを懸念して海外のカジノ大手が相次ぎ撤退を発表するなど、計画が次々と頓挫。安倍氏も亡くなり、IR誘致にかける国内の機運が大きく減衰しているのは間違いない。
慎重派が懸念するギャンブル依存症への対応なども、まだ十分に詰められていないのが実情だ。