「運送」「宿泊」「娯楽」は慢性的に人手不足 物流は「2024年問題」抱える
一方で業種別で正社員の不足感と過剰感をみてみると、「印刷・印刷関連業」は構成比「26.0%」、広告業は構成比「17.2%」、情報通信機械器具製造業で「15.7%」の割合で正社員過剰を示している。
同社では理由について
「過剰感の強い業種では、印刷関連が正社員、非正規社員ともに上位に並ぶ。編集プロダクションなどの映像・紙媒体の制作や広告、繊維・衣服卸売も正社員では過剰感が強い。印刷をはじめとした紙媒体は、長期に渡り需要の減少が続いてきたうえ、コロナ禍以降、催事等の減少やポスティングの自粛も影響し、受注環境は悪化している」
としている。
一方で、「道路旅客運送業」(90.9%)、「道路貨物運送業」(88.1%)、「物品賃貸業」(83.7%)の割合で正社員不足を示している。
同社では
「運送業では正社員の人手不足が深刻で、観光バスやタクシーなど道路旅客や貨物・物流業者のトラックドライバー、有資格者の充足を求める声が相次ぐ。旅客業者は、中国人観光客の訪日が本格化する今春以降の需要増、物流関連は2024年問題を抱え、今後ますます正社員不足の解消が急がれる。また、飲食、宿泊、娯楽、サービスは、正社員、非正規社員ともに、半数以上の企業が不足を訴えている。昨春の行動制限解除後、客足の回復の一方で、徐々に採用難が悪化していると言える」
という。
今後の動向については、
「運送、飲食、宿泊など慢性的に人手不足である業種が限定されているのと同様、過剰感のある業種も固定化しつつある。人手不足の長期化は、企業の成長機会や消費創出の場を失う恐れもある。企業や業界単位ではなく、過剰感のある産業から需要や成長余地のある産業への雇用支援を図るなど、官民を挙げた実務的な対策も必要になっている」
と説明している。