マイクロソフトとグーグルが覇権争い
パート2では、生成AIの業界地図をまとめている。現時点で市場を支配しているのはオープンAIとマイクロソフト、エヌビディアの3社だ。
ChatGPTの開発元であるオープンAIは、非営利のAI研究機関だが、2019年にマイクロソフトが出資した。マイクロソフトは自社の検索・クラウドサービスに最新のGPTを組み込み、驚異的なスピードで誰もが使えるAIサービスを生み出している。AI半導体の世界シェア8割を握るのがエヌビディアだ。マイクロソフトとも提携している。
この先、マイクロソフト連合に対抗できるのは、GAFAMのうち、アルファベット(グーグルの親会社)やメタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)だという。両社は対話型AIの開発に不可欠な大規模言語モデル(LLM)を独自に開発している。中国の百度(バイドゥ)やアリババグループなども米企業を追い上げている。
パート3では日本企業でのビジネス活用を紹介している。
弁護士ドットコムではChatGPTと連携したチャット法律相談を5月に立ち上げる。強みは法律相談サイト「みんなの法律相談」に蓄積された121万件のデータベースだという。サービスは当面無料で提供し、よりよい回答をChatGPTに学習させる。
菓子メーカーの江崎グリコもAI活用に本腰を入れている。
全社員を対象にデジタル教育を行い、データ収集・分析手法やAIの知識を習得し、自らデータを活用できる人材を増やすという。「健康」という付加価値を高めるのが目標だ。
ChatGPTは、「まとめる」「読む」「書く」「話す」ことの効率化、高度化を実現するツールだ。文系人材でも工夫次第でプログラミングコードを書かせることもできるという。AIを操縦する力が求められるようだ。